「裸婦デッサン」

 長野県北御牧村の美術館館長梅野隆氏は、安藤信哉のデッサン
について書いています。
 「安藤のデッサンは本画以上の魅力を持つ。これがデッサンの魅力だと
  つぶやかざるを得ない。デッサンの名手と云われる安井曽太郎のそれ
  と比較しても遜色ない匂いを放っているように思えてくる。」
 安藤信哉は、若き日には川端画学校などでアカデミックな洋画を修練
しました。そして、デッサンの重要性を深く理解しました。
 日本ではデッサンを油絵の下絵とみたり、対象をただ写真のように
正確に描写することだとみなし、その価値を低くみる傾向がありますが、
それは誤りです。デッサンは画家にとって、ものの見方、感じ方を鍛える
最良の方法です。ヴァレリーは「デッサンほど知性の協力を必要とする
芸術を、私は他に知らない」と書いています。