画面の左端に未就学児童と思しき少女が、背中をこちらに向けてすわっています。 床に届かない足、力なく伸ばされた手、うつむいた後ろ姿からは、少女の言葉に できない、言い知れない寂しさのような感情が、ひしひしと伝わってきます。 足元にあおむけにころがっているテディベアをじっと見ていますと、クマになって 彼女を他人事ではなく気遣っている自分に気づきます。 背景の茫洋と広がる空間は海のようでもあり、そのとりとめのない揺れるような 陰影と少女の影が、ひとつの深い心象風景を形作っています。