楽器メーカー・ヤマハ主催のコンサートの広告用に制作されたポスター
の原画です。雪の舞う濡れた浜辺に少女がポツンと立っています。一羽
の白い鳥をしっかりと抱いて、少女ははるか遠くから聞こえてくる微か
な音にじっと耳を澄ましているようです。
味戸ケイコの絵について、アンパンマンの作者として知られている、
やなせたかしは、書いています。
「味戸ケイコは北方の画家である。函館の海を見て育った。しめり気
のない粉雪がサラサラと風に舞いながら暗い海に散る。」
「けたたましい時代に静寂を描くことのできるほとんど唯一の画家だ」
味戸ケイコは1943年、函館に生まれました。幼い時は、日が暮れる
まで一人で海辺で過ごしたそうです。そんな幼少期の記憶がこの作品に
色濃く反映しているようです。