宮沢賢治を題材にした、井上ひさしのシナリオ本『イーハトーボの劇列車』
の表紙の原画です。この絵には宮沢賢治をすぐに連想させるイメージ喚起力が
あります。彼の詩集『春と修羅第一集』の「青森挽歌」より一部を引用します。
この絵と詩が深く結びついているのを感じます。
「こんなやみよののはらのなかをゆくときは
客車のまどはみんな水族館の窓になる」
「汽車の逆行は希求の同時な相反性」
「どこへ行くともわからないその方向を」
「それからさきどこへ行ったかわからない」
「いっぴきの鳥になっただらうか」
「あかつきの薔薇いろをそらに感じ」
「われらが上方とよぶその不可思議な方角へ」
「わたくしのこんなさびしい考は」
「なめらかにつめたい窓硝子(ガラス)さえ越えてくる」
味戸さんは青森の対岸にある函館に生まれました。
宮沢賢治の童話の挿絵をたくさん描いています。