The first scene

 

 

 先方との待ち合わせには、まだ10分あった。

八海が辺りを見回って、待ち合わせ場所に戻ってきた時、直江は煙草をくゆらせてたたずんでいた。

ビジネスホテルのロビーの奥にある、商談用に設けられたスペース。

ガラス貼りの空間には夕陽がさしこみ、もうすぐ夜がくることを伝えている。

直江のほかに人気はなかった。

備え付けのソファーやイスに座ることなく、入り口側の壁にもたれかかっている。

くわえ煙草でどこかを見ている。

(・・・何を見ているのだろう)

八海は立ち止まったまま、直江を眺めた。

長身に整った顔立ち、夕陽をあびてたたずむその姿は、なんだか映画のワンシーンのようだと八海は思う。

直江は自分の思考に沈んでいるのだろうが、なんの表情も浮かべていない。

 八海が直江と一緒に行動するようになったのは、一月前のことだ。

そして、直江を目で追う自分に気づいたのは、つい最近のことだった。

景虎の臣下、としか認識していなかった人なのに。

しぐさのひとつひとつに目を奪われていた。

何を見ているのか、何を考えているのか、視線の先が気になって仕方なかった。

 あなたの笑顔を見てみたい、なんて。

(どうして、そんなことを思うのだろう)

 直江がすっと目をそらせてうつむいた。とたん、煙草の灰がくずれて床へと落ちる。

誰かからの視線を避けたかのごとく、目をそらせた。

(・・・誰、の?)

「直江様」

八海はわざと足音をさせて直江に近づくと、振り向いた直江の煙草をそっと取りあげた。

そして上着のポケットから携帯の灰皿を取り出し、その中でもみ消してしまう。

じっと八海の行為を見ていた直江は、顔を上げて辺りを見まわした。

ここが禁煙だったかどうか、確認したようだ。

3つあるテーブルの上には、それぞれ灰皿が置いてある。

ビジネスホテルなのだから、利用者には喫煙者も多いだろう。。

なぜ?という目をする直江に苦笑をこらえながら、八海は灰皿をポケットにしまう。

「先ほど先方の車が会社を出たと、軒猿から連絡がありました。時間通りに到着されるでしょう。」

「そうか。」

直江が顔をひきしめた。

キレイな鳶色の目が、戦に向かう武将のそれになる。

八海はわずかに高い位置にある鳶色を、まぶしげに見つめた。

腕時計で時間を確認しようと直江が少しうつむく、と、八海が1歩踏み出した。

目の前が暗くなったと思ったとたん、暖かくなる唇。

かすかに触れる、キス。

!

「口、寂しかったのですか、直江様。禁煙していたのでしょう?」

目を見開き、八海を凝視する直江に、すでに身を離している八海が、めずらしく仕事以外のことを言う。

「もう着かれる頃でしょう、迎えに行ってまいります。お持ちする飲み物はコーヒーでよろしいですね?」

呆然と立ちすくんでいる直江を置いて、八海はさっさと歩きだした。

 ホテルのエントランスに今、車が一台着いた。

運転手が降りてくるのを見ながら、八海は自分の唇に触れてみた。

(そうか、俺は・・・)

 

化すかに煙草の匂いがした。

 

                                       fin,

 

 

 

 

★ コメント ★

 

 裕さんからのコメントは頂けなかったので(←って言うか貰い忘れたの?/死)、

 浅ましくも、駅馬のコメントだけ……(苦笑)。

 え〜っと。

 ……どどど・どうですよ皆さん、八×直ですよぉぉぉ〜〜〜っ!!(歓喜)

 駅馬の……駅馬の大〜〜〜好きな、八×直ぉぉ!!(感涙) ぎゃぁぁ〜〜っ!(絶叫)

 何か何か、直江を意識する八海、ってのがイイ……(うっとり)。

 ウチの彼らと全く違って、良いですね〜♪

 思わず(?)キスしちゃう八海が、また、なんとも……うふ(不気味)。

 裕さんトコの直江って、乙女じゃないから素敵〜v

 ど〜したらこうなるんでしょう?(真剣)

 駅馬んトコなんて、直江、乙女さ驀進中だもん……(涙)。

 

 駅馬の場合、他所様の八×直って少ししか見たことないんで(←っつ〜か、

 元々八×直って少ないのね……(涙))、かなり新鮮なカンジ。

 自分トコの八×直が異色だってコト解かってるだけに、この裕さんの八×直に感激です〜★

 裕さん、八×直良いですよぉぉ……もっと書いて下さいぃぃぃぃぃぃ!(切実)

 ……ねぇ、八×直、もっと書く気ないですか??(にやり)

 

 実は、裕さんからの頂き物の中で、これって一番最初のなんですよね〜。

 なのに、アップが1番遅い……(死)。ごごご・ごめんなさぁい〜っ!(涙)

 

 裕さん、ホントにありがとうございますです〜〜〜v 

 

 

 

 

 

 

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