一局の碁は、人の指紋がすべて違うように、形は似ていても、古今東西、ただそれしかない一局です。五十手や六十手、すべて同じという碁が何局もあります。しかし、全体の碁はまるで違ったものになっています。一流のプロが、最善を求めて打った碁がそのような結果ですから、アマチュアの碁は最善らしくない部分を含めた分だけ、変化が多いといえるでしょう。 碁は一局一局、それぞれ個性の違った生き物です。いつ、どこで変化するかわからないバケ物です。道を歩いていて、天から鉄棒が落ちてきたり、地面にポッカリ穴があいたりといった、まともでない事態が起こるというのでなく、手に取って見える範囲の中で千変万化しています。このような変化には、臨機応変の心構えが必要です。 |