藤沢秀行名誉棋聖に学ぶ

名言抄(「秀行の創造」より)

 

22.手談

 

碁は手談です。私はお隣の国、中国を何度も訪ねていますが、ことばに不自由したことはありません。中国語をほとんど知らないのですから、大げさだと思われるかもしれませんが、私の訪中する目的は碁を打つことで、碁にはことばがいらない。碁を通じて心が通い合う、といえばおわかりいただけるでしょう。

 

訪中の時、いちばん楽しみにしているのは子どもたちと碁を打つことです。十歳にならない子どもたちが、私に三子、四子でぶつかってきます。目をキラキラと耀やかせて私の打つ手を見ています。ことばで説明しなくても、石の形を直すだけで心が通い合っています。手談そのものです

 

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