人生にはいろいろな波があります。私は棋士として順調に波に乗りました。十四歳で入段、戦争の波に巻き込まれながら無事に切抜けて、五段に昇段したのは三十三歳の時。同期のライバルたちにさきがけて高段に進みました。 しかし、いつも順調だったわけでなく、長い間調子を落とし、七段から八段に昇るために七年もかかったことがあります。私の低迷期といわれましたが、その直後私が最高位や名人のタイトルを取ったところを見ると、低迷の期間に次の飛躍への力をつけていたようです。 私が棋聖になったのは五十二歳の時です。それまでは長いブランクがありました。しかし、棋聖を六期続けています。 いま、大病を経験して成績は奮いませんが、これも一つの波、新しい波にのるために、まだまだ磨きをかけようと思っています。 |