いますぐ打てます
 This is 囲碁


「囲碁(いご)」って、むずかしいゲームだなんて思(おも)っていませんか?

とんでもない。囲碁ほど簡単(かんたん)で親(した)しみやすいゲームはないのです。

それでは囲碁早(はや)わかり、Let’s Go!

T.囲碁は陣取(じんとり)ゲーム

さあ、これから皆(みな)さんを囲碁の世界(せかい)に

招待(しょうたい)します。

 

1図(ず)

これが碁を打つときの道具(どうぐ)、「碁盤(ごばん)」と

「碁石」(ごいし)」です。

碁盤には縦(たて)横(よこ)9本の路(みち)があります。

実は普通(ふつう)の碁盤は縦横19の路がある広(ひろ)いものなのですが、最初(さいしょ)からこれに挑戦(ちょうせん)するのは、宇宙(うちゅう)を一人(ひとり)で旅行(りょこう)するようなもの。そこで、1図の路盤(ろばん)で頭(あたま)を慣(な)らそうというわけです。19路盤は、強(つよ)くなったときの楽(たの)しみにとっておきましょう。
 まず皆(みな)さんに覚(おぼ)えてもらうルールは、次の二つ。

1.線(せん)と線の交点(こうてん)に打(う)つ。

2.黒(くろ)から打(う)ちだし、白(しろ)と交互(こうご)に打つ。

もう一度(ど)1を見(み)てください。1〜6までの数字(すうじ)は、“この順番(じゅんばん)で石(いし)を打ちましたよ” という意味(いみ)です。

黒が一手目(いってめ)を打ち、二手目は白、以下(いか)

黒と白が交互に打つのがルールです。後(あと)はどこへでも

好(す)きな所(ところ)に打ってください。

他(ほか)に制約(せいやく)はありません。碁は自由(じゆう)

なゲームなのです。 

ところで、囲碁はどうやって勝負(しょうぶ)をつけるの?
一言(こと)で言(い)えば陣取りゲーム。 陣地(じんち)の

多(おお)い方(ほう)が勝(か)ちなのです。

なお、陣地のことを囲碁では「地(じ)」といいます。

 

 

 

 

(1)

U.「地」の多い方が勝ち

 

2図

図のように石を打っていって、このようになったとしましょう。             

自分(じぶん)の石で囲(かこ)んでいる場所(ばしょ)が陣地で、下が黒、上が白の陣地です。それでは計算(けいさん)です。
  線と線の交点がいくつあるか数(かぞ)えましょう。

黒の陣地は33。これを33目(もく)と呼びます。

同じ要領(ようりょう)で白地は24目。の差で黒が勝(か)ちました。この結果(けっか)を「黒9目勝ち」といいます。

 

3図

 地は一ヶ所(いっかしょ)だけとはかぎりません。さて、これはどちらの何目(なんもく)勝ちでしょう?

黒地の合計(ごうけい)は8目。白地は合計7目。 

8−7=1目。正解(せいかい)は黒1目勝ちでした。

 

V.「四ツ目殺し」って何?

 

 碁は陣取りゲームとお話(はな)ししましたが、「地」のことはしばらく頭の片隅(かたすみ)に置(お)いて、もうひとつ、「石は取()られる」 ということも覚えてください。

 

4図

たとえばこの白石一個(こ)。これは矢印(やじるし)の四つの

方向(ほうこう)で息(いき)ををしています。

これを「呼吸点(こきゅうてん)」と呼ぶことにします。

 

5図

たとえばいま中央、黒1と打たれ、呼吸点を全部(ぜんぶ)ふさがれたとしましょう。さて、白の運命(うんめい)は?

息(いき)するところをすべて埋(う)められてしまった白は、もう生(い)きていけず、取られてしまうのです。

ふつうの石の呼吸点は四つですが、本(ほん)図のように

盤(ばん)の端(はし)になると三つに、また右下(みぎした)のような端っこになると二つになります。

これが「四ツ目殺し(よつめごろし)」と言われる、石を取る

基本(きほん)ルールです。

わかりやすいので、ぜひ覚(おぼ)えてください。

 

 

 

 

(2)

 

6図

これは、白石が取られた悲惨(ひさん)な結果(けっか)図です。

せっかく打った石が取られてはいけません。

囲碁は石を取ることが目的(もくてき)ではありませんが、

味方(みかた)の兵隊(へいたい)が減(へ)るのは痛(いた)い。

石はできるだけ取られないようにしましょう。

 

 

 

 

 

 

1図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2図

 

3図

 

 

5図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6図

 

W.アタリに注意!

 

7図

白△がもう一手で取られる状態(じょうたい)を、「アタリ」

呼びます。

では、助(たす)けるにはどうすればいいか?

と先(さき)まわりして打てば、白石がつながって、呼吸点

が矢印(やじるし)の方向(ほうこう)にふえて、アタリを脱出

(だっしゅつ)することができました。

 

8図

取られる石は1個だけとは限(かぎ)りません。個でも

でも、呼吸点を全部(ぜんぶ)ふさがれれば、黒1で取られてしまうのです。それが嫌(いや)なら、白が前(ぜん)図のように逃(に)げだせばいいのです。

 

 

 

 

 

 

X.打ってはいけない手

 

囲碁はどこへ打ってもいい自由(じゆう)なゲームですが、

打ってはいけない手もあります。

 

 

 

 

(3)

 

 

9図

A・の点に黒は打つことができません。この手、呼吸点の

ない部屋(へや)に入るようなもので、息ができません。

つまり呼吸点をすべてふさがれた所(ところ)へは打ってはいけないのです。

ただし、一つだけ例外(れいがい)があります。(10B

B・白からはの点へ打つことができます。白のまわりの石は、すべて味方(みかた)ばかりですから、息苦(いきぐる)しいわけがない。そう思ってください。

入門者(にゅうもんしゃ)が間違(まちが)えやすいことなので、示(しめ)してみました。

 

10

A・黒アが打てない手であることは、9図でわかりました。

B・では、これはどうでしょう? はタテ、ヨコすべてを

白に囲まれた “呼吸点のない石”。 これも打ってはいけない手

かというと、さにあらず。

と打った瞬間に、白石個を取ることができる。つまり、

相手の石を取るときに限(かぎ)り、呼吸点のない所へ打つこと

ができる” のです。
 少(すこ)し慣(な)れれば、簡単(かんたん)なルールですよね。

 

 

 

 

7図

8図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9図

 

 

 

10

Y.石の「生き死に」

 石は囲(かこ)まれると取られてしまうとお話ししましたが、囲ま

れても取られない、形(かたち)を紹介(しょうかい)しましょう。

 

1図 

まわりを真(ま)っ黒に囲まれた白石13個。ところがこの白石、黒がどう手出ししても取ることができません。 なぜでしょう?

白を取ろうと黒アに打とうとしても、ここは呼吸点が無(な)いところで、相手(あいて)の石が取れる時(とき)以外(いがい)は、

打ってはいけない手でしたよね。

黒アでは、白を取れません。( イがあいている。)

同じ理屈(りくつ)で、黒はイにも打てません。

つまり、黒からは手出(てだ)しができないということ。

この白石の状態(じょうたい)を、囲碁用語(ようご)では

「生(い)きている」 と言います。

 碁は最終的(さいしゅうてき)には、“地の大小(だいしょう)を

競(きそ)う”ゲームですが、「生き」 は地の基本(きほん)です。

この「生き」 さえ覚えてしまえば、もう入門は卒業(そつぎょう)したも同然(どうぜん)。頑張(がんば)ってマスターしてください。

 

4)

 

 

2図 

前図の“2DK”゛は生きていましたが、さてこちらの“1LDK”は生きているのでしょうか?

 

3図 

結論からいうと、白は取られています。この状態を

「死(し)んでいる」 と言います。では、なぜ「死に」 なのか?

たとえば黒1と打ったとしましょう。これは2の点があいているので禁じ手ではありませんね 。次に黒2と打たれては全部取られてしまうので、白は2と取る。でも・・・。

 

4図 

そう、黒3と打てば、白を取ることができるのです。黒は

一個(こ)の石を犠牲(ぎせい)にしただけで、こんなにたくさんの白石を取ることができました。

これでおわかりでしょう。スペースは狭(せま)くても

“2DK”なら生きますが、“1LDK”では死んでしまうのです。

 

5図 

それではもうひとまわり広いこの白は、黒1と打たれると生き

ているでしょうか?  この黒1を取ろうとして白からアに打つと、

たちまち黒イで全滅(ぜんめつ)。

つまり白からは手出しができないのです。 相手が放(ほう)っておくのなら取りにいけばいい。黒1の後(あと)アと打てば、12図と同(おな)じ形(かたち)に戻(もど)り、白はやっぱり取られる運命(うんめい)なのでした。

なお、黒1のように、部屋を仕切(しき)るのを邪魔(じゃま)する手段を、「中手(ナカテ)」 と言います。

もう、おわかりでしょう。石が取られないためには、部屋に仕切りがあるか、相手(あいて)が邪魔しにきても、仕切れるだけの広(ひろ)さが必要(ひつよう)なのでした。

 

Z.劫(コウ)って面白(おもしろ)い

 

さてルール説明(せつめい)もこれが最後(さいご)。

「コウ」という形(かたち)を覚(おぼ)えましょう。

 

 

 

 

 

 

(5)

 

 

 

 

 

 

 

11

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12

13

14

15

 

6図 

A・「四ツ目殺し」を覚えたあなたなら、喜(よろこ)んで黒1と白△を取るでしょう。

B・ところがその瞬間(しゅんかん)、白2と黒△の石を取る手が生(しょう)じました。けれども、すぐに取り返(かえ)すこの手が、反則(はんそく)になるのです。

だって考えてみてください。双方(そうほう)が取り合っていたら、何時(いつ)までたっても終(おわ)らないのですから。この形を「劫(コウ)」と呼んでいます。

 

7

ではどうするか?黒1と取られたとき、白はすぐに取り返せませんが、白2と一呼吸(こきゅう)置(お)き、黒が放っておいたら白4と取ることができます。もし黒が黒1の石を取られたくなかったら、黒3で4と打てばいいのです。

 

[.さあ打ちましょう

18図 

いよいよ実戦編(じっせんへん)です。みてください。

これは初段同士(しょだんどうし)の方に打ってもらった碁です。白10までは、領地争(りょうちあらそ)いの途中(とちゅう)図です。 大(おお)まかな杭打(くいう)ちから、徐々(じょじょ)に仕上げに向(む)かいます。

 

19

これが18図の終了(しゅうりょう)図です。右側(みぎがわ)黒地、左(ひだり)側が白地です。 なお、アのところは囲いあいの隙間(すきま)で、「ダメ」と言い、順番(じゅんばん)に詰(つ)めて終(おわ)ります。

それでは計算してみましょう。黒地29目、白地22目。

結果(けっか)は黒の7目勝ちとなったのでした。

 

以上(いじょう)で講座(こうざ)は終りです。あなたは、もう立派(りっぱ)な“碁打ち”。さあ、試(ため)しに一局(きょく)打ってみてください。楽しいですよ。

 

 

「日本棋院 囲碁入門(ダイジェスト)」(改定)

 

 

 

 

 

 

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16

 

 

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18図

19図

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