出版社：小学館（ビッグコミックス、第１巻１９８７年６月）
ご存知、女性柔道マンガの傑作で、ちょうど田村亮子が注目されてきた
時期に広く読まれたマンガなので、マスコミが田村を「やわらちゃん」と呼称
するようになった。
それほど人気のあったマンガであるとともに、田村自身もマンガの主人公に
劣らず、世界の桧舞台で活躍するようになったために、これほどマンガの主人
公と実在の人物とが重ねあわせて見られて例は他にない。またこのマンガの面
白さに秘密は、二つあるように思われる。
一つは、いかにも可愛らしいいつも控えめな女の子が、イザという時には大
の大人をバッタ・バッタと投げ飛ばすという意外性と女性の時代にふさわしい
強い女性への願望を満たしてくれるという点である。
もう一つは、もちろん作者の巧みな物語構成と絵の上手さである。
バルセロナで金メダルを取るまでの様々なエピソードがその都度苦難克服の
盛り上がりをもち、勝利を得たときの感動を倍加する。柔は国民栄誉賞をもら
うが、このマンガも、もしあれば、「国民マンガ賞」に値する。