歴史恋愛ロマン


里中 満智子

天上の虹

「持統天皇物語」

講談社:mimiコミックス
現在15巻まで刊行中(1981年1月〜1983年4月)


《少女マンガの読みづらさ》について

この作品が、非常な労作であり、優れた
面白いマンガであることを認めた上で、
いわゆる「少女マンガ」についての感想
から述べようと思う。正直言って、私は
「少女マンガ」は苦手である。何故かと
いうと、その登場人物の殆どが美少女・
美少年であり、成人しても美女・美青年
のままである上に、顔の造型が同じよう
に見えて区別がつかないので、非常に読
みづらいからである。これは、一つには
「少女マンガ」を読むには私が歳をとり
すぎているということがあるのかも知れ
ないが、比較的低年齢層の少女を対象とするコミックの暗黙の伝統的な制約(やはり、
主人公たちはいつでも「可愛く、美しい」アイドルでなければならない)と、女流作家
の画力にも関係あるのではないかと思う。特にこの作品のように女性の登場人物が多い
と、一人ひとりの個性を描き分けるのは大変なことである。「可愛い顔」に描く以上、
どの顔も類似した造型になってしまうのは避けられないことである。
もちろん、作者の側でも描き分けに努力していることは分かる。それらは、髪型や
衣服の模様などに工夫が施されていることで解る。しかし、現代なら多様な髪型や
衣服の違いである程度人物の描き分けが可能であるが、この作品のように古代の、
狭い宮廷が舞台であってみれば、そうそう違った髪型や衣服を着用させるわけには
いかない。作者の努力も並大抵ではないであろう。恐らく丹念に見れば、眉の方向や
その線の太さ、唇の大きさなどに微妙な描き分けが施されているのだろうが、私など
にはそこまで読み取る感覚が欠如している。それゆえに、「少女マンガ」を読む時は
いつも抵抗を感じながら、ときどき前に読んだところを振り返ってその人物の人間
関係を確認しながら読み進まなければならないので、苦労する。

この「天上の虹」という作品も、その点では例外ではなかった。特に最初の5巻
くらいまでは読み進むのに根気を要したのは、確かである。しかし読み進むうちに
私にもある程度「少女マンガ」を読むコツみたいなものが分かってきた。それは、
顔の造型をまじまじと見比べたりしてはいけないということである。つまり、顔の
造型など気にせず、画像は全体を一瞥するだけで十分であり、全体の雰囲気さえ感受
できれば、どんどん読み進むことができるということを体得したのである。これに
気がついたあとは、殆ど抵抗なく、むしろスト−リ−の展開に引き込まれるように
面白く読み進むことができたのは、私にとって一つの収穫であった。
それにしても、何の抵抗もなく「少女マンガ」を読んでいるの読者たちが、初め
から全体の雰囲気で読む感覚を身につけているのだとすれば、その感性は驚嘆に値
する。その感性の根源が何であるか、興味すら湧いてくる。

《天上の虹》について
さて、前置きが長くなってしまったが、本題の「天上の虹」について述べること
にしよう。この作品は、「持統天皇物語」と、その副題にあるように、後に持統天皇
となるウノノサララノヒメミコ(う野讃良皇女)の誕生から(恐らく)死に至るまで
の一生を描くものである。というのは、まだ話しは途中であり、現在第15巻の
「藤原京」の完成までが描かれている段階であり、今後完了するまでにはまだ数年は
要すると思われるからである。
物語は、645年の「大化の改新」、正確にはそれに先立つク−デタ−事件から
始まる。この歴史上名高いク−デタ−事件は、645年の6月12日に起きたが、
その少し前に奇しくもこの物語の主人公である讃良皇女が誕生している。そして
この皇女の誕生を語るにはク−デタ−事件から始めるのがもっとも相応しい。
何故なら、皇女の父親というのが、そのク−デタ−事件の首謀者の一人である
中大兄皇子(ナカノオオエノオウジ)であり、またその母親というのがこの時殺された蘇我
入鹿(ソガノイルカ)の従兄弟にあたる蘇我倉山田石川麻呂(ソガノクラヤマダノイシカワマロ)の
娘、遠智娘(オチノイラツメ)だからである。
ク−デタ−事件の背景は、こうである。
当時、蘇我一族の勢力は皇族を凌ぐほどに拡大し、特に蘇我蝦夷(エミシ)の子、
入鹿(イルカ)の代になってからは天皇をも左右するほどの権勢を誇るようになって
いた。事実、入鹿は643年には聖徳太子の子供である山背大兄王(ヤマシロノオウエノオウ)
一族を襲って、斑鳩宮を焼失させる事件を起こしている。こうした蘇我一族の横暴に
危機感を抱き、入鹿暗殺のク−デタ−を計画したのは、時の皇極天皇の異母弟・軽
皇子(後に皇極天皇の後を継ぎ第36代考徳天皇となる)と皇極天皇の長子・中大
兄、それにその忠臣の中臣鎌足(ナカトミノカマタリ、後に藤原姓を賜る)のグル−プであっ
た。
ク−デタ−は成功し、これ以後政治は中大兄を中心に進められる。マンガは、この
時の権力者となった中大兄の娘で、しかも中大兄の直系の弟・大海人皇子(オオアマノオウジ)
の妻となった讃良皇女を主人公に、政治の大きな歴史のうねりの中で翻弄される愛と
憎しみの人間ドラマとして展開される。無味乾燥な歴史教科書の記述と違って、そこ
には具体的な一人一人の人間の個性が描かれ、夢や挫折があり、愛と裏切りがあり、
闘争と勝利があり、しかも歴史的事実は事実としてきちっと押さえられているから、
安心感があり、胸躍らされる面白さがある。
それにしても、驚かされるのは、当時の皇族の人間関係の複雑さである。それは、
皇族の血統を重視することから行われたのであろうが、近親婚の多さである。基本的
には母親を同じくする者同士と実の親子の間の結婚が禁じられているのみで、それ以外
は何のタブ−もなかったようである。従って、異母兄弟の結婚はもちろん、叔父・叔母
や姪・甥との近親結婚もしばしばである。しかもその上に、一夫多妻であるから、ます
ます複雑になる。因みに、この「天上の虹」に登場する中大兄には9人の夫人があり、
弟の大海人には合計10人の夫人があって、それらの夫人同士にも直接の姉妹関係から
傍系の姻戚関係まで様々である。

〈歴史が物語であること〉について
母親を中心に人間関係が考えられる点では、母系制の名残りをとどめているのだろう
が、氏族継承権は男子にしか認められていない点は、すでに父系制が確立されている。
母系制と父系制の微妙な攻めぎあい、それがこの時代であったのだろう。天皇の系統図
にしても、歴史教科書や年表では、歴代天皇を中心に単純化された図しか掲載されてい
ないからわからないが、母系制の側から辿って見ると、実に複雑であり、その継承を巡っ
ては様々な策謀や暗闘が繰り返されたであろうことは容易に想像できる。このマンガに
登場する3人の主要人物、中大兄と大海人と讃良は、それぞれ天智天皇、天武天皇、持統
天皇となったわけだが、その過程には歴史の表面には現われない、あるいは記録に残され
ない色々な人間ドラマが演じられたことを、このマンガは、「古事記」や「万葉集」と
いった記録に基づきながらも、想像と推理を交えながら再構成して我々の前に提示して
くれる。従って、その具体的な描写や記述の中に、歴史研究者の定説と違うところや、
本当にこんなことを言ったのだろうか、と思われる部分もある。しかしそれはどんな歴史
物語にも付きものの当然のことであって、それなしには物語は成立しえない。
そもそも、歴史そのものが一つの物語(story)であって、決して客観的事実のみでは
成立しえないものなのである。例え、客観的事実が分かっていても、事実は無数にあるわ
けだから、どの事実を歴史的事実として取り挙げるか、あるいは何故その事実を取り挙げ
るかは、すでにその人の主観だからである。もっと根本的には、客観的事実の客観性その
ものが問題にされうるのであって、どんな事実も一定の主観ないし一定の前提の上に成り
立っていることを我々は忘れてはならない。この意味で、歴史は基本的に物語りである。
ただ全くのフィクションではなく、一定の事実に基づくフィクションであるから、普通
の物語よりも少し高度なだけである。従って、英語でも、歴史は高級物語(hi-story)と
言っている。

「天上の虹」は、立派な歴史物語である。
歴史的事実と思われる部分はもちろん、フィクションと思われる部分にもそれほど不自
然な描写や記述もない。むしろあまりにも自然な展開に、すべてを事実と思い込んでしま
うことの方を、我々は気をつけなければならないだろう。それほどよく出来た物語だとい
うことである。因みに、井上靖の歴史小説、「額田女王(ヌカタノオオキミ)」(1969年に
毎日新聞社から刊行、新潮文庫版は1972年発行、1995年59刷を参照)の記述と
「天上の虹」を比較してみると、歴史解釈の上で両者の間に非常な類似点のあることが判
る。例えば、最初大海人皇子の妻で、後に兄の中大兄皇子の妻となった額田女王の人柄に
ついても(井上の小説では巫女的存在が強調されてはいるが)、大田皇女と讃良皇女の姉妹
の性格づけも、ほぼ共通している。特に注目すべきは、蒲生野での薬狩の時の有名な唱和
を、「密かに交わし合った恋歌」とする伝統的な解釈を採らず、「宴席の座興」とする解釈
は、ほぼ完全に一致している。こうしてみると、作者が井上靖の「額田王女」を一つの主要
な参考文献にしていることは間違いないように思われる。

新潮社(新潮文庫):井上靖著「額田王女」、カバ−絵は上村松篁
(C)Fumi Inoue 1969

額田王女「茜さす、紫野ゆき標野ゆき、野守は見ずや、君が袖振る」(万葉集巻一20番)

(あかね色に輝く紫野を・・標野を・・行き来しているあなた・・そんなに袖を振って
わたしに合図なさっていると、野守に見られてしまいますわよ)


大海人皇子「紫草の、匂へる妹を憎くあらば、人妻ゆえに、我恋ひめやも」(同、21番)

(紫に美しく輝くあなたを、いやなわけがあれば、愛してはならない人妻のあなたに、なぜ
こんなにも恋い焦がれようか)
[「天上の虹」第5巻の第13章「蒲生野」、特に40頁〜53頁参照]


さて、マンガの方は作者の病気などもあって途中中断し、第14巻から雑誌連載ではな
く、書き下ろしという異例の形で継続され、現在第15巻まで刊行されている。内容的に
は、讃良皇女がようやく持統天皇となり、亡き夫の天武天皇(大海人皇子)の遺志でもあっ
た近代国家建設の礎でもある藤原京を完成させたところである。694年12月のことで
ある。「大化の改新」からおよそ50年が経過していることになる。この間の主な出来事
を年表風に拾ってみると次のようになる。

649年3月   讃良の祖父である蘇我倉山田石川麻呂が反乱の疑いをかけられて、自殺。
讃良はこの件で、父親の中大兄に不信感を抱き、反感をもつ。
653年7月 第2次遣唐使の派遣。南路をとった第2船は薩摩沖で沈没。
この年、中大兄が考徳天皇とが不和となり、皇極上皇と難波より飛鳥河辺
行宮に移る。
655年1月 皇極上皇が再び即位し、斉明天皇となる。
657年9月 考徳天皇の皇子・有間皇子が中大兄から反乱の疑いをかけられないように
狂人を装う。
658年11月 有間皇子、謀反のかどで処刑される。有間は次期天皇候補として、世代・
血統ともに中大兄と互角の資格をもっていたので、中大兄が蘇我赤兄(ソガノ
アカエ)を使って有間を挑発し、謀反の罪に陥れたとする推測に、このマンガ
は従っている。
661年7月 斉明天皇没(68歳)。
663年8月 白村江(ハクスキノエ)で百済援助に向かった日本の軍船400隻が、唐・新羅
軍と激突し炎上。日本は大敗を喫し、百済は唐の支配下に入る。
667年3月 都を近江・大津宮に移す。
668年1月 中大兄が即位し、天智天皇となる。
5月 蒲生野の薬猟終了後、酒宴の座興で、額田王女と天智天皇(43)の弟・
大海人の恋歌のやりとりがあった直後に、大海人(38)が暴発し、天智
天皇の前で長槍を突き刺すという事件が起こった。
天皇は、弟とはいえ無礼な行動に激怒し、大海人に死を命ずるが、中臣鎌足
(55)のとりなしにより、その場は収まった。これは、天智天皇が次期後継
者に大友皇子(その妃・十市皇女は額田王女と大海人との間の子である)を
予定し、大友皇子を重用することに対する不満が暴発したものと考えられて
いる。 ここに後の「壬申の乱」の火種が用意されたことになる。
671年10月 大海人皇子、突然の出家、仏道に専念するとして讃良とともに数人の舎人
(トネリ)を連れただけで、吉野に隠棲。これは、天智天皇の病気見舞いに訪れ
た大海人に天智天皇が皇位継承を打診した折りに、大海人が有間皇子の二の
舞になることを恐れ、咄嗟にその場で剃髪し、出家したものとされている。
12月 天智天皇死去。太政大臣の大友皇子が即位しないまま、事実上の近江朝廷
の主宰者となる。(第39代弘文天皇)
672年6月 「壬申の乱」始まる。大海人が吉野を脱出し、大友皇子の近江朝廷に対し
反乱ののろしを挙げる。大海人は、妃の讃良皇女(28)とその子・草壁
皇子(11)らと10数人の舎人らと必死の逃避行に成功し、東国の諸国の
参軍をえて、鈴鹿・不破(関ヶ原)の関を占領、さらに近江に攻め入る。
大津宮は廃墟と化し、大友皇子は7月23日、自殺。
673年2月 大海人皇子が即位し、第40代天武天皇となるとともに、讃良が皇后とな
る。都は元の飛鳥・浄御原宮に移る。これより13年間続く天武天皇の時代
は、国家統一と近代国家建設の努力が続く。
686年9月 天武天皇死去。享年56歳とされる。讃良皇后が天皇大権を代行。
10月 天皇後継者ナンバ−2の大津皇子が謀反のかどで刑死。大津は讃良の姉・
大田皇女と天武天皇の間の長子で、大田が早くに亡くなったため、妹の讃良
の子・草壁皇子が継承者ナンバ−1となっていた。この時、年齢は草壁が
25歳、大津24歳で、草壁が年長であるが、草壁は生来病弱な体質で、
人望・能力とも大津の方が上であったところから、この事件は、讃良が自分
の子供を周囲の反対を抑えて皇位継承させるための陰謀だったと考えられる。
689年1月 讃良皇女、吉野に行幸。この地は、天武天皇誕生のいわば原点ともいうべき
地で、讃良は自分の皇位継承上の優位と正当性を世間に示すためのデモンス
トレ−ションとして、その後も吉野行幸を30回も繰り返し行った。
この行幸に随行した宮廷歌人・柿本人麻呂は、天皇家の血筋が絶えることの
ないようにと詠って、讃良を喜ばせている。
「見れど飽かぬ、吉野の河の常滑の、絶ゆることなく、また還り見む」

(万葉集巻一第37番){「天上の虹」第15巻165頁参照}


689年4月 草壁皇子(28)逝去。讃良の切なる願いもむなしく、病死。この病死は単
なる病死ではなく、このマンガでは、精神的錯乱による衰弱から自ら死を望
み、妃の阿閇(アヘ)が安楽死させたことになっている。

(第13巻、第37章「櫻」参照)


690年1月 讃良皇女即位し、持統天皇となる。この即位式で史上初めて「三種の神器
(剣と鏡と勾玉)」が揃えられたという。
690年7月 天武なきあと、讃良の右腕として讃良を支えてきた高市皇子(天武天皇と
その側室の宗像君尼子娘との子供であるから、讃良とは従兄弟であると同時
に義理の息子でもある)が、正式に太政大臣になる。高市は少年の頃から
額田王女の娘・十市皇女と恋愛関係にあったが、十市が政略結婚で大友皇子
の妻となるに及んで、悲恋に終わっていたが、「壬申の乱」による大友自殺
後、高市と深いつながりがあったことは容易に推察できる。マンガでは、
二人が熱烈な恋愛関係にあって、その仲を裂かれたために、十市は自殺した
という説をとっている。この間の事情について、井上靖「額田王女」では、
「額田にとって、恐らく堪え難いほど悲しかったであろうと思われる事件が
起こったのは、天武天皇の七年(678年)の四月である。(中略)
俄かに王宮において、十市皇女は病を発して薨じた。このためこの日の行幸
はとりやめになった。余りにも突然の他界であったので、皇女は自ら命を絶
ったのではないかという見方が一部ではされた。」とある。(同書、510頁)
このマンガ(里中満智子)が自殺説をとるのは、次の理由による。
「公式記録はこの日の事件を不自然なまでに、いいわけがましく“急病死”
としてあつかっている」ことが逆に異常だから、というのである。(第9巻、
57頁)真相は不明だが、十分に成り立つ推理である。
それにしても、作者も言うように、万葉を代表する歌人である額田が、わが
娘の死について歌を一つも残していないのは確かに不思議である。
「歌をよまなかったのか、それともなにかの事情で記録に残らなかったのか、
さだかではないが…」(第9巻、59頁)、恐らく私の憶測では、後者の方
であろう。というのは、この十市の死の数年前から額田は宮廷の中心舞台から
身をひいて隠棲していたのではないかと思われる節がある。井上小説によれ
ば、天武3年(674年)に天智天皇の陵が山科に完成した折に、天智天皇
を偲ぶ歌を残したのを最後に、「額田の消息は史書から消えている」
(510頁)のだ。もはや宮廷歌人としての地位は、柿本人麻呂にとって代
わられていたのではないか。加えて、年齢的にも40代の半ばであり、当時
にあってはすでに老年である。娘の死に際しても、殆ど無視されるようなも
はや「過去の人」になっていたのではなかろうか。
十市の市を悼む歌を残しているのは、母親の額田ではなく、当時天皇・讃良
につぐ重要人物であった高市皇子である。この3首の歌が、高市と十市の特
別な関係を類推させる根拠となっている。

「三諸の神の神杉、夢にだに見むとすれども、寝ねぬ夜ぞ多き」

(万葉集巻二、156番)


「三輪山の、山辺真麻木綿、かくのみゆえに長しと思いき」

(同、157番)


「山振の、立ち儀いたる山清水、酌みに行かめど、道の知らなく」

(同、158番)(「天上の虹」第9巻、60頁〜63頁)


694年12月 持統天皇、藤原京に遷都。これは、中国にならったわが国初の本格的な都城
であり、東西南北約1キロ四方の都には、中央北側に内裏(皇居)・大極殿
(国会議事堂)・朝堂院(官庁)が大垣に囲まれ、その周囲に住居や寺が配
され、都の真ん中を斜めに飛鳥川が貫流、東に香久山をのぞむ見事な都城で
あった。4年の年月と莫大な費用をかけて完成されたという。尚、藤原京は、
現在の奈良県橿原市にあった。

「天上の虹」第15巻は、ここまでである。このあと、さらに702年12月に持統太上
天皇(58)が没するまでドラマは続くはずである。また、是非続けて欲しい。
このあと予想される主な出来事は、以下の事柄であろう。

696年7月 高市皇子の死
697年8月 持統天皇が譲位し、亡き草壁皇子の遺児・軽皇子が即位し、文武天皇となる。
698年10月 天武と持統の愛のモニュメントである薬師寺が完成。
701年8月 大宝律令が完成、ここに名実ともに日本にも近代的な中央集権的律令国家
が成立。
702年12月 讃良皇女(持統天皇)没。

楽しみに待ちたいものである。里中さん、頑張って下さい。


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