YOSHIDA AKIMI

吉田秋生「吉祥天女」


出版社:小学館(フラワ−コミックス,昭和58年3月より「別冊少女コミック」に連載)


評価:優

 主な舞台は高校であり、主な登場人物も高校生であるのは、読者対象を考慮

してのことであろうが、内容は完全に青年コミックの領域である。ス−パ−ウ−

マンとして描かれる転校生,叶小夜子は男性支配に屈しない一つの理想的女性像

であり、現実の作者の分身は、小夜子のファンとして進行役を務める麻井由以子

である。他の嫉妬する女性たちのいじめにも,男性群の暴力にも敢然と立ち向か

い、やっつけてしまうのは、痛快である。

敵を死に追いやってしまう「魔力」というのは,物語展開の面白さを考慮しての

ことで、そうした犯罪的行為も,男性支配社会への怒りを誇大に表現したまでの

ことである。この作品の表現の根底にあるのは、主人公の次の言葉に現れている。

つまり、「女であるということが,時にどれほどの屈辱をもたらすか,あなたたち

男にはわからないでしょうね・・・」(第4巻15頁)

この意味で、この作品は男たちに対する警告の書である。


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