山上たつひこ・筒井康隆原作「アフリカの爆弾」

ペップ出版:75年10月(初出74「週刊漫画」)
分類:ギャグ
テーマ:平和問題



 アフリカ・コンゴ地方の小部族の乱立・抗争の中で、元商社員、日本人
ブワナ・ヤスは、酋長の相談役。ある日、隣の部族が国連軍からミサイルを
買ったというので、対抗上この酋長も大金を叩いて国連軍からミサイルを買
うことになった。
話は、国連軍からミサイルを買って、自分の部落に運ぶ途中の四苦八苦の話。
ミサイルを見て、「これはなんだね」と質問した観光客に向かって、「ご神体で
す」といい、その先端が男性器に似ているところから、「つまりこの部落の宗教
は、男性性器崇拝なのです」と、とっさに説明するヤス。
一方、ヤスには、日本にいた頃、社内の女子社員に生ませた子供があって、何
かの折りに決まって、その子供の顔が頭に浮かぶ。子供を生ませた罪の意識とミ
サイルという望まぬ子供を生んでしまった人類の罪悪を重ね合わせて、ギャグで
描く平和へのメッセ−ジ。

 「なぜだか知らないが その赤ん坊はかんかんになって怒っていた」

 この最後の言葉は、どういう意味なのか。恐らく、人間のエゴイズムに
対する作者の痛烈な怒りを現している。ギャグっぽいけど、実に上手い描画。
登場人物の捉え方も,確かな描き分けが読み手を安心させ、実に味わいがある。



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