クリスマスカード


私が20歳の時に作った詩です。





       

私達の親の世代は
夢を選んだと思う。
私の父や母の時代には
サンタさんがいて、
月にはうさぎさんがいて
お餅をついていて
かぐや姫がいました。
カミナリ様におへそを取られるって恐がって
ご飯を残すと目がつぶれると信じ
他人の身体的な障害をバカにすると
自分が同じ目に遭うと信じていたみたいでした。

でも、私達の時代は
夢よりも理屈を選んだんじゃないのかな?
夢よりも科学を選んだんじゃないのかな?
月に人が降り立ったのは私が生まれるずっと前。
そこは石と砂と岩しかない暗黒の世界が
広がっていたみたいです。
それが現実なのでしょう。
カミナリ様なんていない。
おへそなんて取られるわけが無い!
それが現実なんでしょう。

でも、それでも
誰かの心の中の月には
うさぎがお餅をついていて
かぐや姫が住んでいます。
雲の上にカミナリ様がいます。

サンタさんがいないという事を知っている人が
偉いんだ!
サンタさんがいるなんて思っているのは
幼い子供か馬鹿だけだ!
サンタさんがいない事は大人なら知っている!
そんな事を自慢していた夢の無いつまらない子供に
そんな事を自慢していた大人になりきれない大人の言葉に
純粋な子供の心は荒らされて
サンタさんが
心の中で消えていった私達の世代。
サンタなんているわけがない!
誰かがそう思うたびに
この世からサンタさんが消えていく。
そんな冷たく暗い時代にした私達。

私はクリスチャンじゃないけど
サンタさんがいるって思いたい。
この世にいるか?いないか?なんて問題じゃないよ。
自分の心にサンタさんがいればいい。
自分の心にかぐや姫がいればいい。
理屈なんてどうでもいいでしょ?

心が失われ、技術だけが残った
夢が失われ、科学だけが残った。
愛が失われ、暴力だけが残った。
学問が失われ、学歴だけが残った。
希望が失われ、理屈だけが残った。
思いやりがなくなり、情報社会だけが残った。
そんな世界にしたくないな!って思ったの。
だから、クリスマスを前に
一人でも多くの人に
サンタさんがいる!って思って欲しくて・・・
クリスチャンじゃなくても、いるって思って欲しくて・・・
子供っぽいけど、暖かい夢を持って欲しくて・・・

サンタさんのいる意味を知っているのか?
サンタさんの名前の由来を知っているのか?
サンタさんの住んでいる所を知っているのか?
サンタさんがおもちゃを配る理由を知っているのか?
そんな事を私に語って聞かせたい人もいるかもしれないけれど
理屈なんていいの!
理論なんていいの!
知識なんていいの!
情報なんていいの!
私の心の中のサンタさんは
雪の舞う大空から降りてくるの。
それだけでいいでしょ?
理論だらけの情報には
ちょっとウンザリ。
夢に理屈はいらないと思うの。

実際は岩と石と砂だけの月の世界。
でも私の心の中では
ぜひ、かぐや姫を住ませたい。
うさぎにお餅をついてもらいたい。
メルヘンかぶれのバカ女と言われても
私は構わない。
夢がない人と比べたら
楽しく生きていけそうだもん。


きっとクリスマスイブの夜
空にサンタさんがソリに乗って
飛び回っているんだと思う。
心が純粋な人だけには、それが見えるんだと思う。
でも私には、もう見えない。

サンタさんなんかいない!
誰かがそう思うたびに
サンタさんがまた一人
この世界から消えていく・・・・・・・・

まだサンタさんを本当に心から信じていたあの頃に
サンタが今夜来るんだ!ってワクワクしていたあの頃に
あの頃の純粋で無邪気な気持ちに
戻ってみたい・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
       

陽子            








陽子の恋愛・エッチの話目次

02/12/21 (土) 午後 12:24:30