こんにちはorこんばんは。
水曜日の夜でぇす。そして今日から11月です。
2006年も、あと2ヶ月になっちゃったね。
二ヵ月後の今日は「お正月・元旦」なんだね。早くない?

月曜日は彼の家で過ごしちゃいましたし
昨日の火曜日は「火曜日の女」エリチンが来ちゃいましたので
今日が今週初めての更新ですが、今週最後の更新になっちゃいそうです。
今週は、やっぱり今日1回だけしか更新できないみたい。
木曜日からお出掛けしちゃうので、本当にゴメンね。
また機会がありましたら、今年1年間のあいだに出掛けた旅行の話を
更新しますね。

皆さんもステキな週末&連休を過ごしてください。
でね、「どこにも出掛ける予定が無いよ」
「家でゆっくりしたいんだよ!」
「連休は仕事なんだよ!」
っていう方、もし良かったら家でのんびり映画でも見てみては?
って思って、今日は映画の話を書きます。

最近ね、同じような事件が多いですよね。
親が子供を虐待している!っていう事件。
「はぁ?またですか」って感じですよね。
立派な大人が、虐待の事を「教育」「しつけ」って思い込んでいるところが
とっても怖いと思います。
「お漏らしをした」「ご飯をこぼした」「夜泣きをした」っていう理由だけで
殺されちゃった(処刑されちゃった)子供たちって、かわいそう。

以前、今から約1年と6ヶ月前頃(2005年の5月)に
恋愛の項のNo.166に、映画「砂の器」の話を書きました。
ちなみにNo.165には「はなれ瞽女おりん」の話を書きました。
「砂の器」は、決して楽しい映画ではありませんでしたが
病気のために世間から非難を浴び、苦しい旅を続けていた親子
その親子の強くも悲しい絆、
そして、その親子を優しく見守る村の警察官。
有名な一流音楽家の暗い過去と運命。
それらが絡み合っての殺人事件。
この前も書きましたが、名作だと思います。
「砂の器」
出演:丹波哲郎/加藤剛/森田健作/緒形拳

この映画の主演は、もちろん上記に書いた4人
先日お亡くなりになられた丹波哲郎さん、そして加藤剛さん、森田健作さん、緒形拳さん。
どの役者も熱演されていて、とても素晴らしかったですが
悲運な旅をしていた親子の父親役を演じていた加藤嘉さん
その加藤嘉さんのラストのセリフ「そ、そんな人、知らねぇ!」の一言は
主演の4人を完全に食ってしまった!っていうくらいの重く悲しい言葉でした。

でもこの、映画「砂の器」では
数奇な運命に遭いながらも、
本当は息子と別れたくなかったのに、病気のために息子と別れなくっちゃならなかった父
そして、今は一流の人間となり、立場上(世間的に)父と会うことを避けなければならなかった息子。
表面的にはお互いに敬遠しながらも
心の底では、親子はお互いに強く結ばれていた悲運な運命の親子。
残酷な運命にもてあそばれながらも精一杯に生きていた親と子供。
「砂の器」は、そんな映画です。
余談ですが、少し前にテレビで、SMAPの中居さんが「加藤剛さん」の役で
放送していましたね。
かなり印象が違っていました。
映画「砂の器」。
ハリウッド映画もイイですが、ぜひ日本の映画も見て下さいね。

でね、ここからが本題なんですよ。

冒頭にも書きましたが
実の子供を、親が育児放棄したり、いじめたり、殺しちゃったりする事件が
多いですよね。
でね、そんな親の事を、よく私の父や母などは「キチクだよね」って良く言っていました。
最初は意味が分からなくて、父に聞くと
父が一本の映画を見せてくれました。今から約半年くらい前の話ですよ。
その映画の題名は「鬼畜」。父が言っていた「キチク」って、鬼畜の事だったんですね。

今から約30年以上も前の映画だそうです。
先ほど書いた「砂の器」が1974年度作品で
今から書く「鬼畜」は、その4年後の1978年度作品だそうです。
親子の関係からみると、「砂の器」とは逆の立場の映画かな?って思います。

主演は、「砂の器」で正義感があって心優しい村の警察官を演じていた緒形拳さん。
そして、先ほども書きましたが、
恋愛の項のNo.165でも書いた映画「はなれ瞽女おりん」で
盲目だけど、心優しい瞽女役の主演の「おりん」を演じていた岩下志麻さんが主演です。

この鬼畜っていう映画は
最初ね、なんか「のほほ〜ん」ってしている映画かな?
なんか面白い映画かな?って思いました。
映画が始まると、上半身裸でパンツだけの姿で遊んでいる女の子と男の子。(エッチなシーンじゃないよ)
「可愛い子供も出演する愉快な映画かな?」って思っちゃう。
そんな雰囲気がありました。
音楽も軽いノリの音楽で始まります。まるでテレビゲームの音楽みたいなオープニング音楽です。

話の内容はね、冴えない!誠実じゃない!正義感もない!だらしない!みっともない!
っていう男が、結婚して奥さんもいるのに、本当は浮気をしていて
子供が3人もいるんです。
浮気相手の女性が、突然、その冴えない!だらしない!みっともない!男の家に来て
子供3人を置いて、どこかに蒸発しちゃいます。
怒った奥さんは、そのだらしない夫に怒り
置いていった子供3人に怒り、殴り、ののしったりします。
その怒った奥さんは、子供の面倒なんて一切見ない。
って、当たり前かもしれないね。
だって、夫が勝手に浮気して作った子供を無理矢理に家に置いていかれても
普通の奥さんでしたら、面倒なんて見ないよね。

その怒った奥さんの策略で、一番下の子供は栄養失調で死亡し
2番目の女の子は、そのだらしない夫が東京タワーに置き去りにしちゃう。
東京タワーに置き去りにしちゃう数十分前には、
その女の子から「おとうさん好きですよ」って言われたのにだよ。
そして、一番年上の男の子は、だらしない夫が、高い崖から落とし・・・・・
奥さんから見れば他人の子供だけど
そのだらしない夫から見れば、自分の子供。
その子供を簡単に殺したりする夫婦。
怖い映画でしょ?

その、冴えない!だらしない!夫の役を演じるのが
「砂の器」では、正義感あふれる誠実な村の警察官を演じていた緒形拳さん。
その2つの映画を見比べると、その演じる2人の男の対比が違いすぎて
「緒形拳さんって、すごい役者だなぁ」って思いますよ。
鬼畜では、本当に「情けない歩き方」「冴えないおどおどした話し方」で熱演していました。

そして、映画「はなれ瞽女おりん」で、心優しく清らかな心の盲目の旅芸人「おりん」を演じていた岩下志麻さんが
鬼のような悪魔のような冷酷な奥さんを演じています。
この対比も凄いです。
ちなみに、「はなれ瞽女おりん」は1977年度作品ですので
その次の年には、こんな鬼のような女性を熱演しちゃうんですから
岩下志麻さんも凄い役者さんなんですね。
岩下志麻さんは、この「鬼畜」では、まだ生後まもない子供の口に
ご飯を無理矢理に押し込んだり、子供を殴ったり、投げつけたり睨んだりと
鬼のような女性を演じています。
その鬼のような奥さんには、決して逆らったりできない立場の夫。
鬼のような奥さんに「青酸カリで子供を殺せ」「崖から子供を突き落とせ」と言われても
何も反論できずに、奥さんに言われたとおりに子供を殺そうとする夫。

でね、映画の主要人物では無いですが、「砂の器」で
悲運な旅をする親子の、哀れな父親役を熱演していた加藤嘉さんが
この「鬼畜」では、主演の緒形拳さんを叱り付ける誠実なお医者さん役で出ていて
面白かったです。「砂の器」とは役(立場)が逆になっちゃったんだもん(笑)。

女の子を東京タワーに置き去りにした後、怯えるような父親。
東京タワーを振り返ると、タワーが急にライトアップして、キレイ。
でも残酷なシーン。
そして、一番上の男の子に、青酸カリ入りのパンを、無理矢理に口に押し込もうと必死になる父親。
子供は「おとうちゃん」って慕っているのに
その子供を崖の上から放り落とす父親。

奇跡的にも助かった一番上の男の子。
警察の人に「誰に崖から落とされたんだ?」って聞かれても
「寝ていたら落ちちゃった」と言って、父親をかばう男の子。
父親は警察に逮捕されたけど、子供が助かった!と聞いて、心から歓ぶ父親。
父親も本当は殺したくなかった。奥さんに言われて、逆らえずに犯した犯行。
だから、子供が生きていたと聞いて、本心から歓んだ父親。
そして子供との再会。思わず笑顔になる父親。
警察官がその子供に向かって
「これがお父さんだろ?」って言うと
子供は「お父さんじゃないよ!知らない人だよ」って答えます。
警察の人に「誰に落とされたんだ?」と聞かれても父親をかばってきた男の子。
でも父親を目の前にして、父を「知らない人」と答える子供。
最初はね、子供が父親をかばっているのかな?って思ったのですが
違うような気がしました。

警察官の前で父親をかばったのは
今までの「父親との関係を清算」するつもりだったのかな?って。
子供が自分の親に対して、決別を決心した寂しい言葉。
今まで「お父ちゃん」って慕っていたのに、甘える事ができたのに
今はそれがもう出来ない男の子。
目の前に「お父ちゃん」がいるのに、泣きながら「お父ちゃんじゃない!知らない人だよ」って
涙を浮かべながら訴える子供。
父親の顔は曇り、そして泣き崩れる。
子供の前で手を合わせて「許してくれ」って頼む父親に対して
でも子供は何も反応しない。
子供に捨てられた「だらしない父親」。

一番下の弟を殺されて、そして妹も失い、一人孤独になって、
それでもお父さんだけを信じている男の子。
でも、最後まで信じていたお父さん、信じぬいたお父さんに裏切られた男の子。

砂の器では、加藤嘉さんのラストのセリフ「そ、そんな人、知らねぇ!」の一言は
主演の4人を完全に食ってしまった!っていうくらいの重く悲しい言葉でした。
そして、この鬼畜では、この男の子の「お父さんじゃないよ!知らない人だよ」の一言も
主演の大人2人を完全に食ってしまった!っていう感じの重く切ない言葉でした。

とにかく、男の子も女の子も、子供達が凄い名演技でした。
親に叱られ、罵倒され、殴られ、威嚇され、脅されても
怯えながらも無邪気に純粋に生きる子供達の姿、愛らしい演技が素晴らしいです。

この鬼畜の映画では、全編にわたって、オルゴールの音楽が流れます。
映画のオープニングで、一番下の子供が持っていたオルゴールから流れる音楽です。
最初は、なんとなく「ほのぼのとした音楽」「なごやかな音楽」に聞こえるのに
同じ音楽のはずなのに、そのオルゴールの音楽が段々と「狂気な音楽」「寂しい音楽」「恐怖の音楽」に
聞こえてきます。

子供は何も悪い事をしていないのに、
勝手に浮気して子供を作ってしまった夫。
その子供を置き去りにしていった浮気相手の女性。
そして、その子供を狂気の目で見る夫の奥さん。
大人の一方的な身勝手で、命まで奪われる子供。
「鬼畜」って、そんな映画です。

連休中に予定が無い人、家でゆっくり過ごしたいって思われている方は
ぜひ、この映画をレンタルなどして、見て下さい。
もし今書いた映画を何も見た事が無い人は
3本をセットで見て下さいね。
もし3本を一度に見る場合、見る順番は自由ですが
私的には、
1.鬼畜
2.砂の器
3.はなれ瞽女おりん
がいいかな?って思ったりもしました。
一度に見る!って言っても、1日に3本見るんじゃなくて
1日に1本ずつ見てくださいね。

何度も書きますが、この3本の映画は、素晴らしい映画ですが、楽しく愉快で笑える映画じゃないです。
友達や彼女とポテチ(ポテトチップス)を食べながら見る映画じゃありません。
雑談しながらなごやかな雰囲気で見る映画でもありません。
一人で黙々と集中して見る映画かな?って思います。
じっくりじっくりと見て欲しい映画です。
11月の連休中に見ている暇が無い方は
年末年始にでもゆっくり見て下さい。
No.1647

陽子の新・恋愛愛情のページ目次

06/11/01 (水) 午後 8:20:18