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No.230『静かな落日』運営サークル 感想文


【運営担当 観劇の感想】

■私は1939年生まれであるから、松川事件は私が10歳頃に起こったことになる。その頃、戦後の暗いニュースが頻繁に伝えられてはいたが、子供心にあまりわからないままに過ぎた気がする。しかし、この松川事件では広津和郎という作家が大活躍しているということは私の記憶に残っている。この劇では祖父のことも初めて知った。
この事件の真相解決に闘い続けた広津和郎と作家の宇野浩二の動きには釘付けになった。娘の桃子の戦中・戦後の葛藤や父子の愛情の温かさと強さが印象に残った。また、警察の自白強要の場面では最近、静岡県で冤罪を認められた人のことが頭に浮かび、心が痛んだ。
久しぶりに良い演劇に出会ったという満足感に浸った。
(ハリとイト)

■久しぶりに本格的な芝居を観たという充実感を味わいました。今までの例会もそれぞれ良さはありましたが、今回はずっと引き込まれていく感じでした。
事件の容疑者に対し警察官が強引に犯人に仕立て上げていく手口や、証人に対する尋問など、取調室での場面が芝居とはいえ腹立たしく思いました。袴田事件の再審が決まりましたが 、当時の事が想像されました。
広津和郎の粘り強い行動が無実の被告達を救ったこと、また、宇野浩二と旅館の部屋で二人が何回もふとんに入ったり出たりして会話した場面、何と言っても、和郎と桃子の絆がとてもよく出ていました。“お父さんが好き”という桃子の言葉が印象的でした。よかったです。
(希望)

■すばらしかったです。キャストの皆さんそれぞれが役になりきっていて見事だと思いました。特に樫山さん、伊藤さん、水谷さん等の年代を重ねていく姿になりきっての演技がさすがだと思いました。
ストーリーは自分なりにパンフレットなどで勉強しましたが、難しく感じました。でも自分なりに要約してみました。
父は、外では難しい事件の犯人でっち上げを感じて、文筆により冤罪の解決に貢献した人だけど、片や家では問題があり、娘・桃子には受け入れがたい人であった。しかし、だんだん年を重ねていくうちに打ち解けて、理解できるようになった父と娘の物語であり、最後のほうで「好きよ、お父さんが好き・・・」のセリフがとても良かったです。桃子がかいがいしく世話する姿も良かったです。
途中に出て来た「どんな事があってもめげずに、忍耐強く、執念深く、みだりに楽観もせず、生き通して行く」というセリフも印象に残りました。
最初は、ちょっと退屈に感じられたけど、だんだんに引き込まれました。取り調べの場面がなにかアッサリと流れた気がしました(もっと、もっと、どぎつくても良かったのではと)。他に広津和郎の活躍する場面が物足りない(わからない)ように思われました。 広津和郎が宇野浩二と旅先の蒲団の上で議論する場面は印象的でした。
先人が他人の始まりは親子兄弟だけど、他人の中で一番近いのも親子兄弟だと言っていたことが思い出されました。世知辛い世の中ではあるけれど、自分の周りを見直して、お互いに理解しあい分かりあえる家庭、地域社会、国際社会になればいいなと思います。
場面転換が暗転の中で見事に行われ、役者さんも衣裳の早着替えをすることに感心しました。さすがにプロですね。
今回の例会では、パンフレットを初めて購入して読み、内容の理解に努めました。記念になるなと思いました。
期待通り良かったです。〔おはなはん〕大好き。また好演が観られるといいなー。
(気楽生会)