◆貴族制度について◆
英国といえば、今も貴族制度が残る国。映画とは直接的な関係はありませんが、
ファイサル王子役のアレック・ギネスやデヴィッド・リーン監督が国から「サー(Sir)」の称号を受けています。
この称号を受けた人物は、名前の前に「サー」をつけて呼ばれる(表記される)ようになりますが、
そもそも「サー」の称号とは何ぞや?と疑問に思いましたので貴族制度についていろいろ調べてみました。
簡単にではありますが、紹介したいと思います。
○「サー」の称号について○
「Sir」の称号が与えられるのは「英国に貢献をした人物」とされています。
いろんな分野で活躍する人物に与えられていますが、有名どころではポール・マッカートニーもそうですね。
ただし「サー」は貴族ではなく「騎士」の身分。
そして1代限りなので子孫には引き継がれません。
名誉称号のようなものでしょうか?
ちなみに、日常の呼び掛けとしては「Mr.」 とは逆に「Sir
Alec」のように first name につけます。
「Sir Guinnes」のように surname につけることはありません。
○英国の爵位○
| 爵位(英語) | 爵位(日本語) | 読み方(参考程度にしてください…) |
| Duke | 公爵 | デューク |
| Marquis | 侯爵 | マーキス |
| Earl | 伯爵 | アール※英国以外の伯爵はCount(カウント) |
| Viscount | 子爵 | ヴァイカウント |
| Baron | 男爵 | バロン |
| Baronet | 准男爵 | バロネット |
| Knight | ナイト爵,士爵 | ナイト※女性版が、Dame(デイム) |
爵位が高い順。
下段2つはほとんど(現在の英国では)貴族とは認められていないようです。
「サー」は一番下、「knight」にあたりますから「私は貴族だ!」というふうにはならないのでしょうねぇ…。
○爵位を持つ人物の呼び方○
爵位を持つと、その地位によってすこしずつ呼び名が変わります。
ちょっと複雑ですが、見てみましょう。
ここでは例として、アレック・ギネス(Alec Ginnes)氏のお名前を拝借し、
伯爵以上に用いられる爵位用の地名にロンドン(London)を使って
表してみたいと思います。ちなみにアレック・ギネス氏はロンドン生まれです。
爵位用の地名がロンドンだというのはちょっと妙な感じがしますが…(^^;
呼び方の(正式)は改まった場所での呼び方、(通常)はそれよりはくだけた、
パーティの席上などでのものです。
| 爵位 | 爵位名 | 呼び方(正式) | 呼び方(通常) |
| 公爵 | The Duke of London | Your Grace | Duke |
| 侯爵 | The Marquess of London | My Lord | Lord London |
| 伯爵 | The Earl of London | My Lord | Lord London |
| 子爵 | The Viscount Ginnes | My Lord | Lord Ginnes |
| 男爵 | Lord Ginnes | My Lord | Lord Ginnes |
| 准男爵 | Sir Alec Ginnes | Sir Alec | Sir Alec |
| ナイト爵 | Sir Alec Ginnes | Sir Alec | Sir Alec |
↑を日本語表記するなら…
| 爵位 | 爵位名 | 呼び方(正式) | 呼び方(通常) |
| 公爵 | ロンドン公爵 | 閣下 | 公爵 |
| 侯爵 | ロンドン侯爵 | 閣下 | ロンドン卿 |
| 伯爵 | ロンドン伯爵 | 閣下 | ロンドン卿 |
| 子爵 | ギネス子爵 | 閣下 | ギネス卿 |
| 男爵 | ギネス卿 | 閣下 | ギネス卿 |
| 准男爵 | アレック・ギネス卿 | アレック卿 | アレック卿 |
| ナイト爵 | アレック・ギネス卿 | アレック卿 | アレック卿 |
■地名と姓名と爵位名
身分の高い貴族ほど爵位名が姓名に由来せず、姓名とは別に、
"Duke of ○○"といった形で称号を持っています。○○には、普通地名が入ります。
それは、かつて爵位を授かる=領地を授かる、ということだったのでその影響でしょう。
上記の日本語訳は英和辞書を引いて訳したものですが、英語では明らかに違う単語なのに
訳が同じになってしまっているものがありますね。
Your GraceとMy Lord(閣下)、SirとLord(卿)。
他に当てはまる訳が見当たらないのでこう表記しましたが、
これらの単語の違いは結構大きいのでお気をつけください。
英国の場合、爵位を相続できるのは原則として嫡男1人のみです。
かといって貴族の子息のうち、長男以外は爵位名を持てない…というわけではありません。
公・候爵の子息、伯爵の長男はフルネームに「Lord」をつけて呼ばれますし、
伯爵の次男以下、子爵以下の子息は「The Hon.(=Honorable)」が姓名につきます。
映画中(チャプター23「エル・オレンス」)でも言っていますが、ロレンスの父親は貴族でした。
ロレンスの父親がどのような地位にいたのかは、映画中(のセリフのみ)でなんとなく予測がつきます。
| 「MY FATHER IS SIR THOMAS CHAPMAN」 「IS THAT A LORD?」 「A KIND OF LORD」 「THEN WHEN HE DIES,YOU,TOO WILL BE A LORD」 「NO」 「AH,YOU HAVE A ELDER BROTHER」 「NO」 「BUT THEN… I DO NOT UNDERSTAND THIS」 「YOUR FATHE’S NAME IS CHAPMAN…」 「ALI,HE DIDN’T MARRY MY MOTHER」 |
チャプター23の上記のセリフを見ると、ロレンスが父親のことを
「SIR THOMAS CHAPMAN」
だと言っていますね。
ということは准男爵かナイト爵の肩書きを持つ人物だということがまずわかります。
そして、アリのセリフからその爵位が相続できるものだということがわかります。
ナイト爵は一代限りの相続できない称号なので、違う。
となれば残った「准男爵」が父親の肩書きだという結論になります。
いやはや、何気ないセリフで、そんなことまでわかってしまうんですね。
しかしイギリス人だったらこれで分かるかもしれませんが、普通の日本人にはそこまでわかんないです…
(以下続く)