◆Mさんからの手紙◆
ロレンスにはまってから、映画に関する感想や疑問点などをMさんといろいろやりとりを
していました。私のはともかくとして、Mさんの考察は深くて読み応えがあるので
本人の了承を得て、ここに掲載させていただきました。
(もとが手紙ですので、文章は少し変えています)
黒字がMさんのコメントです。
| ○ファイサルが「オレンス」と呼ぶ件について○ 他のアラビア人はロレンスのことを「オレンス」と呼んでいます。 それは、「ロレンス」という発音ができないから…なのですが、ファイサルは 英語の教育を受けたことがあるので、ちゃんと「ロレンス」と呼ぶことができます。 しかし、「ロレンス」と発音できるのにも関わらず、意図的に「オレンス」と呼んでいる シーンがあります。そのことについて… 私が記憶する限り、ラスト以外でファイサルが「オレンス」と呼ぶのは、ベントリーに 「Aurence is your man.」とか言うところだけです。列車爆破の前のシーンですね。 他はちゃんと「ロレンス」と発音しています。 ベントリーがファイサルにいろいろインタビューしている場面で、 「I´m looking for a hero」 を受けて「オレンスがその人だ」と強調している セリフですが、ファイサルは、ここだけわざと「オレンス」と言ってます。 彼が「オレンス」と呼ぶのは何かを強調するためです。 私は、皮肉で言っていると受けました。私の考える、強調する理由ですが 1.イギリス人将校のT・E・ロレンスではなく、アラビアで反乱を率いている、 あのロレンス(つまり「アラビアのロレンス」?!)であるという事。 簡単にいうと「エル・オレンス」か? 2.反乱軍の指揮者はファイサルなのに、ベントリーを含む外国の人々は ロレンスのことばかりを聞くので、多少のいやみを込めている うまく表現できませんが、あの映画のファイサルの心情って、あまり表面に 出ないわりに、すこぶる複雑です。そりゃあもう、ロレンスに匹敵するほど! アレック・ギネス、本当に大変だったでしょうねぇ〜。やっぱり彼は良い役者です。 どう考えても、映画のファイサルは、ロレンスを良く思ってません。絶対。 ロレンスに対する考え的には、アレンビー達に近いと思います。 つい最近、脚本(英語版)を入手したので、ファイサルが 「ロレンス」(もしくは「オレンス」)と呼んでいるセリフを調べてみました。 以下、抜粋。 1.「You understand Lieutaenant Lawrence my people are... unused to explosives and...machines... First the guns...now this...」 2.「Lieutenant Lawrence,you have met Sherif Ali,I think.」 3.「Have you been in Damascus,Mr.Lawrence?」 4.「Which is why my father made this war upon the Turks −my father,Mr.Lawrence,not the English!」 5.「Yes,Lieutaenant Lawrence,you may claim it. But in whose name do you ride?」 6.「Well you will find Major Lawrence with my army Mr.Bentley.」 7.「That is exactly so. With Major Lawrence,mercy is a passion. With me it is merely good menners.」 8.「If...You will tell me truly the nature of your interest in my people,and in Major Lawrence」 9.「Aurence is your man.」 10.「Aurence!...or is it Major Lawrence?」 11.「well I will leave you,General.Major Lawrence doubtless has reports to make.」 12.「My friend Lawrence,if I may call him that −− ”My friend Lawrence” −− how many men will claim the right to use that phrase, how proudly!」 13.「Ah,Yes. But then Aurence is a sword with two edges. We are equally glad to be rid of him are we not?」 それぞれの日本語訳(目安程度にどうぞ) 1.「ロレンス中尉、私の軍は爆弾や機銃には慣れていないのです」 2.「ロレンス中尉、アリ族長には会われたと思うが」 3.「ダマスカスへ行ったことがありますか、ミスターロレンス?」 4.「私の父がトルコに戦いを挑んだのです、−私の父が、ですよ ミスターロレンス、イギリス人ではなく、ね」 5.「ああ、ロレンス中尉、私の名において旅をするといいだろう。 しかし、本当は誰の名なのだね?」 6.「ロレンス少佐は、私の軍と一緒ですよ」 7.「そのとおりです。ロレンス少佐にとって慈悲は情熱です。私にとっては、 単に行儀作法がいいということにすぎませんが…」 8.「ところで、あなたが私の軍やロレンス少佐に関心をもたれるのはなぜですか?」 9.「オレンスがその男ですよ」 10.「オレンス!…いや、ロレンス少佐とお呼びしたほうがよろしいかな?」 11.「ロレンス少佐が報告することがあると思いますので、私はこれで失礼を…」 12・「〈わが友、オレンス〉、これだけの言葉をどれほど多くの人たちが使いたがって いることか。得意満面で。」 (脚本では「Lawrence」となっていましたが「Aurence」の間違いではないかと 思いますので訳は「オレンス」とさせていただきました) 13.「ああ、そうでした。しかし、オレンスは両刃の剣です。 彼が居なくなったことを我々はともに喜んでいる…のではないのですか?」 「Lieutaenant」「Major」というのはロレンスの軍隊中での階級です。 それぞれ「中尉」「少佐」ですがこれは物語中で階級が変わっているので それにあわせて呼び名が変わっているんですね。 ちなみにラストのほうでは「Colonel」(大佐)になっています。 あ、それと上記の英文表記のセリフですが、あくまでも脚本のものなので、 実際の映画と少し違う部分があるかと思います。そのあたりはご了承ください。 こうしてセリフを抜粋してみると、確かに、何かを強調するときに「オレンス」と 呼んでいるようですね、ファイサル。Mさんの書かれているとおり、 「オレンス」は「アラビアのロレンス」のことを指し、 「ロレンス」だと「イギリスのロレンス」のことを指しているのではないかと。 いやしかし、こうしてみてみると、つくづくファイサルって知能犯というかなんというか。 |