ファイサル王子について
「人の上に立つ人物は腹黒であるべし」という考えを持つ私にとって、
この映画中で一番印象に残る人物といえば、彼です。
聖人君子でも構わないけれど、でもそれだけでは複雑な政治社会を
渡っていくのは難しいと思います(頭の切れる腹心の部下でもいれば別ですが)。
だったらむしろ、思いっきり腹黒で、頭が切れ、実行力のある人物のほうが
いいんじゃないかというのが私の持論です。
それに加え、表面上は聖人君子っぽい人だとなお良し。
細かいところまでチェックを入れるにつれ、映画のファイサルがかなりの
皮肉屋だということに気がつきます。いつも渋い顔してますしね(笑)
ファイサルの出番はあまり多くはありませんが、その少ない出番の中で
かなりの存在感を感じさせるため
(この点はファイサル役のアレック・ギネスの名演技に負うところが大きい
かと思いますが)、とても印象に残りました。
私は普段吹き替え派なので最初のうちはそれほど感じなかったのですが、
音声を英語にして聴いてみたらファイサルの印象がそれだけで随分と変わりました。
日本語に吹き替えている声優さんの演技が下手というわけではありませんが、
アレック・ギネスの声のほうが感情表現が上手いように感じました。
といいますか、聴いていて「ああ、ここ皮肉だよなあ」とわかる部分が多いです。
話している内容は字幕見ないとわからないのにも関わらず。
皮肉をいうにしても、いかにも皮肉っぽくいうのではなく、
皮肉だということが君にはわかるかな?
というようなスタンスで言っているような感じ。
さて、そんな彼の皮肉をいくつか挙げてみましょう。日本語表記で。
| ◆テント内でファイサルとロレンスが2人で会見するシーン◆ 「それともあなたは、われわれを遊戯の相手だとでも考えているのですか。 われわれは取るに足らぬ、おろかで貪欲、そのうえ、野蛮で残忍な人種だから」 というファイサルのセリフがあります。 これは、以前ロレンスがアリに言ったセリフ(アリがタファスを銃殺したときです) 「アラビア人が種族間のいがみあいをやめないかぎり、立派な人種には成長できない! いつまでたってもおろかで、強欲で野蛮、そして残忍な種族のままなんだ、君のように」 をそっくりそのまま返しているんですね。すごい皮肉です。 アリに言ったセリフがそのまま返ってくるとは思わなかったでしょうね、ロレンスも。 このシーンではロレンスとファイサルの横顔がアップで映されているのですが、 上記のファイサルのセリフを聴いた瞬間、ロレンスは口の端をもちあげて、笑っているんですよ。 内心、ファイサルにそのことを報告したアリのことをののしっているのではないかと思うのですが、 あくまでも表面上はにこやかに。 で後日、ネフド砂漠を渡ってアカバへと行こうとするロレンスをファイサルが呼び止めて、 話をするシーンがありますが、その中で 「このこと(ネフド砂漠を渡ってアカバへといくこと)はアリと2人だけの話ではなかったのかね。 アリが私に秘密にすべきことを洩らしたのでは?」 とのファイサルのセリフに対しロレンスが 「アリは貴方の忠実な部下ですから」 と返します。ここのセリフはロレンスの皮肉…だと思われます。 ロレンスの言ったセリフを一字一句間違えずに報告したアリとそのセリフをそっくり そのまま返してきたファイサルに対する、ね。 |