福祉オンブズマン養成講座第1回レポート
「オンブズマンの意義と役割」
閉鎖気味の施設に,オンブズマンが関わっていくむずかしさを知ることが出来ました。ことに利用者が常に職員より弱い立場にあることは常々感じていたことでした。ケアを受けないと生きていけない利用者は,常識から言えば、厳しすぎる規則に縛られています。その立場に立って,声にならない声を代弁していくのは正に至難のわざといえます。傾聴ボランティアで施設に入っても,利用者は本音を明かしにくいことでしょう。その点で、オンブズマンは断固中立を保たなければならないと思いました。そして厳正な中立の上に立ってのみ,施設・利用者との信頼関係を構築できるということを感じました。その点で,高い倫理観・偏りのない正義感をしっかり自分に植え付けなければなりません。こうした人間として,ある意味,完全性を身につけることはなかなかむずかしいことと思います。しかしながら,逆に,固くならずに,一般社会人として普通に接していければいいのかなとも感じます。
入浴の回数についてお話がありました。週二回以上,それ以上に多すぎても,他の利用者への配慮が欠けたり,他のサービスが滞るということは,はっとさせられました。確かに均等なサービスというのも大切であると知らされました。しかし,そうした事実を外からやってきて,何時間か見ただけで把握出来るものなのか疑問にも感じます。四六時中入っている,利用者の心のどこまで汲み取れる者なのか、サービスをどこまで知りえるのか分かりません。前もって連絡すればなおのこと,オンブズマンの効果性はどうなのでしょうか。けれども告発者としてでなく,より良い施設のあり方をともに考え,向上させていく目的意識をもって,施設を見たり、聴いたりしなければならないと思いました。これも信頼関係の構築無くしては出来ないことと感じました。
「福祉政策の理念と福祉オンブズマン」
介護保険・支援費の導入によって,行政の措置から,契約・サービスの選択という一見,自由な状態に移行しているようにみえますが,やはり,利用者つまり障害者は、サービス提供者に対して弱い立場にいるということに変わりはありません。それでそうした福祉政策の理念が進められても,力関係においてさほど変化が生じたとは思えません。力のない,例えば重心の障害者はどのように守られていくのか不安になっています。その中で,福祉オンブズマンは,代弁者としてどこまで人間らしく扱って欲しいという叫びを,変わって行えるのか考えてしまいます。自らの権利を自ら主張できるようサポートできるのは一体どれほどその本人に近づけるかにかかっています。また,福祉制度をよく知り,よく理解してなければなりません。障害者の一人一人のケースによっても違ってきます。それで代弁者となることはさらに多くの知識や洞察力を身に付けなければならないと思いました。