むかしむかし、ある所に"シンデレラ・雪野"(ハーフ?)という美しい少女がおりました。 訳あって、シンデレラ・雪野は継母・光希と継姉・里美に日々いびられておりいましたが、心根も美しい彼女は健気に謙虚に暮らしておりました。 そんなある日... 「シンデレラ・雪野!! わたし達はこれからお城の舞踏会に行って来るから、その間にお前は家中をピカピカにしておくのよ!!」 そう言うやいなや、継母・光希と継姉・里美はお城へまっしぐら。 残されたシンデレラ・雪野はひとりため息をつきました。 「お義母さまとお義姉さまはおしゃれしてパーティでごちそうかぁ...いいなぁ...」(どれが?) そうつぶやきながらシンデレラ・雪野は台所の床を拭き掃除。 「...ん? このよごれ、なかなか落ちない...」 そこへ突然、魔法使い・まゆが現れました。 「さあ、シンデレラ・雪野。私があなたを舞踏...あら?」 魔法使い・まゆの目の前には台所の床に顔がくっつきそうなくらいはいつくばるシンデレラ・雪野の姿が...。 「あの〜なにしてるの?」 魔法使い・まゆはシンデレラ・雪野の隣にしゃがみこみました。 「よごれがなかなか落ちなくて...」 「あら、それは大変ねぇ。お手伝いしましょうか?」 そして、シンデレラ・雪野と魔法使い・まゆはふたりで床掃除を... 「ってそうじゃないだろう!!」 そこへ、やはりいきなり現れた魔法使い・晃平のするどいツッコミが入りました(笑) 魔法使い・晃平はシンデレラ・雪野を台所の中央に立たせて軌道修正(!?)。 (ちなみに、魔法使い・まゆは床掃除続行中。) 「えっと...『さあ、シンデレラ・雪野。私があなたを舞踏会へ行かせてあげましょう。』」(棒読み) 「え、でも...」 シンデレラ・雪野はちょっとこまった顔で台所の床をちらっと見ました。 「"行かせてあげましょう"!!」 「はい...」 怒りを含んだ魔法使い・晃平の口調にシンデレラ・雪野は小さくなってしまいました。 「さて。」 魔法使い・晃平は魔法の杖を取り出しこほんと咳払いをすると、踊るように大きく杖を振りました。 すると...!! つぎはぎだらけだったシンデレラ・雪野の服が素敵な純白のドレスへと変わっていました!! (髪型などその他の部分も修正済み) 「わ〜シンデレラ・雪野ちゃん、とっても素敵〜♪」 台所の床に座り込んだままの魔法使い・まゆはパチパチと拍手。 魔法使い・晃平も満足気にうなづきました("いい仕事した"って感じ?)。 「はい、これで準備ばっちり!! あ、この魔法、12時過ぎたら効果がなくなっちゃうのでそれまでに帰ってくること。OK?」 「はい...」 しかし、シンデレラ・雪野はまだうかない顔。 「まだなにか?」 「あの、お義母さまに家中掃除しておくように言われたけど、まだ全然終わってないんです...」 「あ、それなら大丈夫!! 私たちがやっておくから♪」 「え!? "私たち"って俺も!?」 魔法使い・晃平の抗議を無視(!!)して、魔法使い・まゆは鼻歌まじりに床拭き掃除を再開しました。 そして、シンデレラ・雪野は魔法使いふたりの様子に多少不安を覚えながらも、用意してもらったカボチャの馬車でお城に向かいました。 一方、お城では、舞踏会が盛り上がりを見せる中、ひとり天王子は不機嫌な顔で台座の上に豪華な椅子に座っておりました。 「天王子、せっかくみんな、おまえのために集まってくれたのだからもうちょっと楽しそうにできないかい?」 「頼んでない。つまんない。ていうか、ねむい。」 天王子の隣に座った航王は天王子の返答に困った顔をしておりました。 そう、今日の舞踏会は天王子のお嫁さんを探すために開かれたのでした。 フロアでは豪華なドレスに身を包んだ若いお嬢様方と娘の玉の輿を願う奥様方が天王子に熱い視線を送っておりました。 (もちろんその中に継母・光希と継姉・里美の姿もあり) 天王子は女性陣をちらっと見ましたが、すぐにそっぽを向き、深々とため息をつきました。 「まったくどいつもこいつもブスばっかりだし...」 「こら、天王子!! 失礼なことを...!!」 と、その時。 突然フロアにざわめきが起こり、天王子と航王もそちらに目をやりました。 「おお!!」 そこにはシンデレラ・雪野の姿がありました。 「...!!」 天王子はシンデレラ・雪野を見た途端、胸のドキドキがうるさく騒ぎ始めました。 いつのまにか顔も赤くなっています。 「これはこれはなんて美しいお嬢さんだ!! 天王子、ダンスに誘ったらどうだい?」 「なっ...!!」 航王の申し出に天王子の心臓が飛び上がりました。 しかし... 「あ、あんなやつ、たいしたことねぇよ!!」 意地っ張りであまのじゃくな天王子は思わずそんなことを言ってしまいました(涙) 「そうか、それなら私が...」 実は、航王は早くに王妃を亡くし、"(一応)花嫁募集中"なのでした(笑) 「ちょっと待て!! おい!!」 天王子は立ち上がろうとする航王をあわてて止めました。 そして、不承不承という顔で(表向きは)台座から降りていきました。 さて、天王子、シンデレラ・雪野の前までやって来たのはいいのですが... 「...」 天王子はこれまで女性をダンスに誘ったことがなかったのでガチガチに緊張していた上にどうしたらいいのかわかりませんでした(爆) 一方、シンデレラ・雪野も突然目の前に現れた険しい表情の天王子に緊張しまくっておりました。 そして、その場にいた人々はそんなふたりの様子をかたずを飲んで見守っておりました。 天王子はしばらく"う〜んう〜ん"と考えた末、やっと口を開きました。 「おい!!」 「は、はい!!」 「オレと踊れ!!」 「はい!!」 なんとかダンスに誘う(!?)ことに成功した天王子はシンデレラ・雪野と踊り始めました。 しかし、緊張でガチガチな上に、元々ダンスが苦手な天王子にステップもろくに知らないシンデレラ・雪野という組み合わせだったため、そのダンスは"ロマンチック"とは程遠いものでした(汗)(足踏みまくり!!) そうこうしているうちにとうとう12時の鐘が鳴り始めました。 「あの、わたし帰らないと...!!」 シンデレラ・雪野はそう言うとあわてて駆け出しました。 「あ、ちょっと待て...!!」 反射的に天王子はその後を追いました。 しかし... "12時が過ぎると急激にねむたくなる病"(!?)であった天王子はお城の長階段に差し掛かったところで睡魔に襲われてしまいました。 そして、そのまま... 「きゃー!!!」 シンデレラ・雪野は自分の横を勢いよく転がっていく天王子に思わず悲鳴をあげました。 階段下に倒れた天王子の様子も気になりましたが、シンデレラ・雪野は魔法が完全に解ける前にあわてて家へ帰りました。 さて、天王子は奇跡的にほとんど無傷で済みましたが、階段から落ちたショックで舞踏会で踊った姫の顔や声をすっかり忘れてしまいました。 手がかりは残された片方だけのガラスの靴...。 そこで、航王はこんなおふれを出しました。 "ガラスの靴をぴったり履けた者を王子と結婚させることにする" その日から天王子自ら、従者・要を連れて街中の家をまわり、ガラスの靴がぴったりの娘を探しました。 そして、とうとうシンデレラ・雪野の家の順番がやって来ました。 ガラスの靴は継姉・里美には少し大きすぎて、継母・光希と継姉・里美は大変くやしがりました。 シンデレラ・雪野が台所からこっそりその様子を見ていると、ふと従者・要と目が合いました。 「お嬢さんもどうぞ。」 「え、あの、でも...」 にっこり笑う従者・要にシンデレラ・雪野がわたわたしていると継母・光希が割り込んできました。 「いえ、この娘が合う訳ありませんから!!」 「でも、念のため。」 従者・要の"スマイル攻撃"(!?)に継母・光希もしぶしぶうなづきました。 しかし、シンデレラ・雪野がガラスの靴の前にやって来たその時... ガシャーン!! 継母・光希は隠し持っていた(どこに?)トンカチでガラスの靴を叩き割ってしまいました。 「あら、申し訳ありません、わたくしとしたことが...ホホホホ」 継母・光希がごまかし笑いをする横で天王子(&他の人々)はあっけにとられた顔で粉々になったガラスの破片を見つめていました。 すると、そこへ... 「実はここにもう片方が...」 そう言ってガラスの靴を取り出したのはシンデレラ・雪野...ではなくて、従者・要でした。 (なんでこの人が持っているんだろう?) その場の人々がそう思っている中、従者・要はシンデレラ・雪野の前にそのガラスの靴を置きました。 「さあどうぞ。」 従者・要にうながされて、シンデレラ・雪野はガラスの靴に足を入れました。 が... 「あれ?」 ガラスの靴はシンデレラ・雪野の足にはどう見てもぶかぶかでした。 外から家の中をのぞいていた野次馬軍団(!?)は残念そうな声を上げ、継母・光希はほっと息をつきました。 「どうやらこの家も違ったようだな...。」 がっかりした顔の天王子が家を出ようとすると... 「天王子、僭越ながら私も試してみてもよろしいでしょうか?」 (え!?) にっこりとそう言う従者・要にみんな驚愕の表情になりました。 「あ、ああ...」 天王子がとまどいながら答えると、従者・要はガラスの靴に足を入れました。 すると... 「おお〜!!!」 従者・要の足にぴったりとはまりました。 そして、従者・要は満足気な笑みを天王子に向けました。 「天王子、お忘れではないですよね? 王子は『ガラスの靴をぴったり履けた"者"』と結婚するということを。」 「な...!!」 そうです。確かにおふれには「ガラスの靴をぴったり履けた"娘"」とはありませんでした。 実はこのおふせは従者・要が考えたものだったです。 そして、ほんとはシンデレラ・雪野が履く直前に従者・要がオリジナルのガラスの靴を壊してしまうつもりでした。 継母・光希の行動は従者・要にとってまさに"渡りに船"でした。 「天王子、私、まだまだ若輩者ですが、必ず天王子をしあわせにしますから♪」 「ちょっ、ちょっと待て〜!!!」 従者・要はまだ状況が理解できていない様子の天王子の肩を抱いてシンデレラ・雪野の家を後にしました。 そして、残されたシンデレラ・雪野はしばらくあっけに取られた顔をしていましたが... 「ま、いいか。」 そう言うと、また掃除を始めました。 |
"Andante1周年記念話"として2004.10.11-31の期間、"1周年記念部屋で公開&DLF"を行っていたお話です。 (現在はDL&転載できませんm(_ _)m) 思いっきり遊んで書いた話のわりにみなさまにも好評でよろこんでおります(*^^) ただひとつ心残りは"Triのキャラ中心"だったことですかな...(次はぜひBDメインで!!) |