かそけくは ふしぶしきしむ 夜に編まむ わが史まづしき 裸形かなしむ |
Artikoj svage jen stridas nokte, kiam tristante l' nudon malric^an mi mem muntos nu historion mian. |
何なしし 八十歳(やそとせ)あまり ひとつ過ぎ 蹌踉とまた あゆみいでたり |
Kion faris mi ? Plue pas^as nun mi ek per du piedoj jen s^ancelaj kun l' ag^o jaroj unu plus okdek. | ||
かへえりみる われの世過ぎの ほそぼそと 檜山ふきに 立ち残る篠 |
Sinteno mia rigarde rememora, apenau^ restas en cipresar' profunda jen bambueto sola. | ||
四季知らぬ 無粋の身うち ひろげ見す 貝となり得ば 閉ぢたらむ口 |
Nun mi fikorpon klarigas ne en lerno gracia pri kvar sezonoj, c^ar ne estas mi ja konkul' en fermo. |
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通り雨 ひとを濡らすも 是非なかれ 日の目見せつつ 迫るむらぐも |
Se pasos pluvo jen iun malsekige permesu, lume kun suno proksimig^as nubaro iom dike. |
生徒われ 頼れる師にし 移られぬ 藪に蹴りても ころがれよ石 |
Instruist' g^is nun por mi ja korfidato transiris foren, ec^ vepre sin forrulu do s^ton' c^e piedbato! |
積み重る 鬱気をエス語 独習に やらむとするも 晴れ切らぬ雨後 |
就職後 またもエス語と 関わりぬ 良心しかと 保つ師のもと (倉地治夫師) |
受講生 只の一人に 兄弟子の 品川弁も 入る愉しみ※ (同志広瀬仁) ※後姓中谷 |
自由化の 波退きてゐつ 学生ら ひそかに寄れる 下宿(やど)の一室 (社研グループ) |
自由なき 世と変る訳 まなぶ書は あれど携え 行くがあぶなげ |
学ぶべき エス語と書とに 占められし 聖徳太子 ならぬうつそみ |
職変へて 今ははげまな 雇われし 記帳事務にと かかるすぐさま |
池あれば 家鴨あそばす とはいへど 製品評価 日を追ひて増す※ |
※山口自転車工場。 のちに社会党から 出た山口静子(ママ)氏は 当時工場主の愛娘 であった。 Metallaborista Sindikato apartenanta al Tutlanda Konferenco de Japana Laborista Sindikato, japanlingve t.n.Zenkyoo |
谷あるき 常とせる杣 すら逸らす 滾ちて棲む 早瀬なりとな |
Jen fame fluas minace la torento, evitas do g^in ec^ arbhakist' en valo ja c^iam kun talento. |
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エス語をば 無産層への 的かかげ 講師来たるか この本所へも※ ※エスペラント講習会が 本所の帝大セッツルメントで 開催された。当時本所柳島 に下宿していた僕は直ちに 参加した。 |
教員を やめてエス語に 一筋の 画筆を糧(かて)の 普及化の鬼 (中垣虎児郎師) |
帰途につく 受講生らに 紛れつつ 尾行(つけ)ゐし者が 呼べるくらやみ |
学生に 流行(はや)れるマント 着し男 寄り来て約す 土曜訪はむと |
現場員 ひとり紹介 せよといふ なれどもわれは 事務の新米 |
素人の われは危ぶむ オルグはや 無知のわが友 煽り追ひ詰む |
何なすも 急くは危ふし 異な葉もつ もうせんごけに 捕はれむ虫 |
柿ならば 熟れ頃いつと 眺めむに 禍(まが)つ手が伸ぶ 横合ゆつと |
あれ見よと われ乗せてより 私服指す 逢はむ二人に 縮む道のり |
法とやら 触れて泣く泣く しりぞけば 事務の机(き)に寄る ゆとりとて欠く |
エス語受講を 全うせずに よそ事に 関はりたるも うちうちの罪 |
あはれ去る エス語のとりで きづくべき 手懸りたふと かるを失くして |
国境を 超えて仲間を 殖やしゆく 絆と育つ 一つ言葉よ |
Unuig^o Jen lingvo sola kreskanta kiel noda ligil' de fratoj ja translandlime pli kaj pli per ni multigotaj. |
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柄になき 身のほど思案 しつくせば エス語のみにと 的をしぼらむ |
新宿に 受講者終はりし 仲間たち 核とし寄れる 熱意ひしひし |
芝三田に 受講経て来し ともがらを ぬきんで弾む 鍛冶屋頼もし (同志中台一郎) |
岩角に 銃把打ち当て 怒りけむ 先輩起てり 時を移さで (同志西岡知男) |
仙台ゆ 手だれの小松 移り来て 地区のたかぶり はた目にも立つ (城南地区) 当時僕は洗足の長 兄宅に厄介になり城 南地区にぞくしていた。 |
ABC(アーボーツオ) 君は歌にて 教へ出す 蒲田工場※ 消組と組みて (同志永浜寅二郎) ※新潟鉄工所蒲田工場 |
学篤き あるじの和目(なごめ) 慕ひ寄る ロンドの外に すだく虫の音(ね) (比嘉春潮) |
学習の 集ひに動議 いできたり 予定狂はす 継げば気疎(けうと)き |
エス語抜き 討論集会 かず増して 学ぶ暇など あるべくもない |
集ひ来む 人を結束 させ得るは エス語ならむに 論鋒を研ぐ |
入会に 資格は要らず 気まぐれに 入り来し者が 論議ゆがます |
謬見の 根見破る 君の眼が 本屋商賣 措きて座に来る (同志石内茂吉) |
同志(カマラード) 川名片笑む 胸をかも 病みてやつるる 頬が然(しか)せむ |
その巡る ロンドいくつを 活気づけ 動かす君は 水を得し魚 (同志広瀬仁) |
転びても 只では起きぬ 健(したた)かさ 君が動ぜぬ 物腰に見む (同志中平孔三) |
くりくりと 動く円ら眼 うさ知らぬ 同志(カマラード)よな 中部の要 (同志依田喜代次) |
その笑顔 見え来るのみに 座は和む 植字工とふ 誠実の君 (同志須藤実) |
君・僕と 男言葉に 舞踊師の 姉ははしゃげど 妹黙(もだ)に (同志近藤姉妹) |
帰宅して 準備し終り 集会(ロンド)待つ 君を訪ひゆく 途次幾曲り (同志木下忠三) |
公然と 名乗れる片(ビラ)は 君よりと 半ば訝り 従ひしはや (同志鈴木唯一) |
会議終え 出でて直ちに 放尿す かの窪川が、と 憤る君◆ (同志坂井松太郎) |
役目柄 多忙きはむる 書記長よ 何ぞエス語に 時譲り得る◆ (同志塚本周三) |
身のこなし いつも迫らぬ デンマーク 公使館付き 仲間Mouam◆ (同志殷武厳 [Eun Mouam]) |
岡山を 逃れ来てかく 潜みつつ 君は書き出す エス語原作 (同志岡一太) |
原紙切り 巧者の仲間 三浦より 教はるすべを 糧(かて)と頼らな※ (同志三浦二郎) ※失業中の僕は毎朝 新聞を見て筆耕の仕事 を探した。一枚いくらの 宛名書の筆耕よりは原紙きり の方が分がよかった。 |
しばらくは 君の寓居に 寄食しき 慣れぬ文案 作(つく)り当て込み◆ (同志奥戸武郎) |
弁護士の※ 二階を借りて 自炊せり 原紙切りもて 活路ひらきて (大野氏宅) ※一階に弁護士事務 所があってのちに社 会党から代議士とな って出た大野某氏は そこの書生であった。 正確には大野氏宅だ。 |
共棲(ともずみ)の 縁は異なもの ふと会ひし 訛似通ふ 元教師との (江連平君※) ※新興教育者連盟?の 江連平君とは城南地区 のどこかで知り合い意 気投合して共棲した。 彼は栃木県出身で僕は 茨城県、隣県のなまり はよく似ていた。 |
長々と 市電のりゆき 通ひては 君と働く 無償いく月 (同志栗栖継之進) |
集め来し エス語の手紙 訳し編み 月報つくる 原紙切(ガリ)のお手並み (PEK) |
密かにぞ※ 国を出づらむ 君まもれ 遠泳こなす 短躯豪胆 (同志中台一郎) |
※原紙きりの仕事もそう多くはなく、僕は江連平を置い たまま下宿を出てカンダのPEUの事務所に移った。ドイツ で開かれるIPE大会へ代表として中台君を送ることが城南 地区で決議されたが本部で否決された。それを押して 中台君と古藤氏が出発した際事務所に押しか けて来て在金を持って行った。彼らに同情的であった僕 は見て見ぬふりをした。のちに古藤君はしり込みし、中 台君はソ満国境を越えてソ連側に捕われ、危ふくスパイ 視されるところで追放された。その詳細は中台君の自伝 にゆずろう。 |
軍いまや 要路威圧し 飛ぶ蝶を 追ひては延ばす 我意の道筋 |
ある時期は 本部に詰めき その筋の 私服しばしば 来たり尋ねき |
われら為す 国境ごしの 文通も 盗み見らるや 着く以前にも |
何の名分 ありて信書を 盗み読む その筋につく エス語知る徒よ |
訪れて 紳士然たる 憲兵の 私服ほほ笑む なにげなき春 |
その筋も 兵の私服も 訪るる 本部くらめて 退かぬ梅雨(つゆ)ぐも |
あてもなき 甘雨待つげに 立つ樹樹を 萎やす旱か 鳴き細る蝉 (PEUに弾圧迫る) > |
エス語まづ 措きてか受けむ 兄事せる 人がとりもつ 就職の件※ ※刑事や憲兵がやってくる 本部詰めは得策でないと 考えて、僕は市谷刑務所 の西の高台に下宿した。 前に問題を起こした事が あるので敢えて本名で住んで いたが、がり切りの仕事は 僕の雇い主である神田の錦 文社から戸山の陸軍経理 学校詰めとなってその 教材を扱った。 |
その筋が 睨むエス語を 措きて発つ 仲間も知らぬ わが逃避行 |
つまづかせ くすぼり残る 榾なれば 燃やし尽くせと 粗朶ひろひをる |
Mi alkolektas hejtaj^on por ke elbrul' al hejtlignero eblas, g^i restas al mi stumbliga jam fume nur. |
榾燃やす 粗朶かげに其(そ)よ 山行は 二年目にして やまひ膏肓 |
補充兵 輜重輸卒が 山を行く 頼むは若さ ほどへては無我 |
初歩はまづ 高座の谷を 登り詰む そばだつ峰の 岩とつつじよ (六甲荒地山) |
ひた登る 険しさ余し 汗あえぬ 頂上の岩 天狗塚指し (六甲長峰山) |
主峰より 岩頭に至る 崖こゆる 擬似懸垂にのみ 綱は足る (雪彦山) |
繊(ほそ)けれど 若さに溢る 従へと 帰路にぞ君は 歩幅ひろぐる (小川正十郎氏) |
故里の 丘には無かる 岩なれば 一目見つるが 病みつきとなる |
岩も峰(ね)も 夢の原質 たひらかに つづく林野は 不毛にと帰す |
平地にぞ 振り下ろす鞭 受くべきは 岩も峰もなき この胸のうち |
駆けいでよ 平地のほめく 真日のもと 繊き身の影 ふり放つべく |
足弱く 行けば山には 限られき こころの挫け 癒す峰(ね)と岩 |
その筋は わが逃避行 知りながら 目を離しけむ 山からも疾(と)う |
継之進 つとに神戸に 移りゐて ますます励む エス語もろ手に |
エス語わが 措きしとはいへ 相手替え 文通はなす 身を保つ知恵 |
国柄を 思ひはかれと 気を配る 文通は柔き 糸とほす針穴(めど) |
昨日今日 明日も費やす 便りなり 限る友へも いとまかつがつ |
エス語すら 気の張るものと 成り終り 新たに生る ストレスの素 |
ストレスを 解き放ち得る 何あらむ 書店に寄りて 歌誌など捲る |
歌といへば 啄木の外 しるなかる われを把へし 斬新と古雅 (前川佐美雄師) |
何やらむ 挫折負ふらし そを超ゆと 師の詠ます勁(つよ)さ げに類(たぐひ)なし |
順ゑがく 転向者生くる すべしらず 師は樹に登り 草くぐりぬる (高見順作 「故旧忘れ得べき」) |
山づとの 虎杖(いたどり)めける 歌なども 見給ふ師かと 恥(やさ)しかりける |
思ふこと さまになし得ぬ 拙さを 嘆きてまたも 山に入りてむ |
樹林縫ふ 水ひそやかに 径に添ふ 昏さ名に負ふ 命迷の谷 (六甲) |
石重ね 枝先曲げを 目印に 師の跡つけし 滾つ岩瀬よ (山田奈良雄師) |
ならひわざ 懸垂の足 着地すと 仰向けば師の 笑ます目差(まなざ)し |
手探りに 結び合ふすべ 覚えむと 綱もち立てり 師の指示はむべ |
生徒らに 次ぎて懸れる われをしも 師は岩頭ゆ 導かれける (森本次男師) |
登山歴 袴に潜め 座し給ふ 師は面差しに 青春を留(と)め (仲西政一郎師) |
〈錬成〉の 熟語も浮かぶ 前夜にて 三師率ゐる 山小屋倶楽部 |
身のほどを 敢てし受けし 果報よな 山の猛者らに 師事するを得し |
保護司K 訪ひ来ぬ同じ 山好きの 元カマラード 他意はあるまじ |
司法省 勤めなりしが 大阪に 移りてKも ついに保護司か |
保護司K やはり山好き とはいへど その役目柄 山男付き |
犬連れて Y攀ぢゆくと 保護司従(つ)く その役超えて 興湧くか不図 |
寝袋の 保護司添はしめ Y眠る 自(し)が寝袋に 犬を抱き締め |
独り行く 拗ねYなどと いはれしが 実はそれとて ままならぬ事 |
司法省 勤めは徴兵 いかなりや とまれその身の 安かれよK |
花むらが 蝶を呼び込む 共存の ときのおくゆき いかにして詠む |
小賢しき 問ひかけやせし 汝(な)が噛むは 釜の底つく 焦げつきの飯(めし) |
向つ峰(を)に 豆腐凍てさす 家あるを 遠望み来て 詠むと夜更かす |
知る事の なお少なきに 詠みいだす 知りて超えよと 導かれしに |
思想とは 概念ならず 声調と 導きぬがに 師のおもむかす |
リズム感 をどる歌作を はたと止め 論陣を張る 師の友信雄 |
歌作り 止めて久しき 信雄とふ ランボー張りの コクトーびいき |
猫といふ のみにて 猫を浮かばせよ 詩人なればと さすがコクトー |
胸を打つ 場面繰り出す 調べよと 聴きほれ見とれ 座して譲らず (石川信雄氏歌集シネマ) |
軍を立て 諸省が生活(くらし) 締め来るも はや膠着の 戦野ゆえらし |
Ministrejoj restantaj sub ombrel' de l' armeo s^paras nun vivtenaj^ojn, front' gluita estus certe. |
山に行く われの常づね 負へるもの 合羽とシャツと 飯(めし)と罐詰 |
戦争(いくさ)とは 為すまじきこと なにゆゑと 自問し怒る そは論のそと |
戦争(いくさ)とは 何のかたどり 折あらば ひとり探らむ 新刊書選(よ)り |
読まむかな 〈天の夕顔〉※ 〈日本の 橋〉などいとま ととのへてなほ |
※天の夕顔(中河与一作)は 無償の愛をもって、日本の 橋(安田与重郎作)は私的表 現をもって日本の美を強調 し、共に当時のっ青年たち を惹きつけた。 |
聖戦の 在り得や否や あらばこそ 美もて進めむ 献身とかや |
無礙に咲け 茨白きと 鳥獣 くぐる木叢(こむら)の ひめくずの黄と |
献身と 言はずに捨身 とこそ言へ 前者は時に 非理に利せしむ |
戦ひの 後盾たる 物欲しさ 責めつつ弱し 軍に触れざる |
私利私欲 貧るを討て とは言ふも 仕組みに触れぬ まやかしの筆 |
戦争(いくさ)とふ 事なじり得ぬ われにして 何の思想か 温存し得む |
思想とは 平和を守る 民心を 導き入れむ 構造に依る |
抱き来し 思想を矯むる なかりしと 現実(うつつ)に言ひそ 嘆き重ぬる |
今はもう 戦争(いくさ)に寄らず 風月に 徹し切らむか それも目に立つ※ ※戦争に協力せぬ歌誌は にらまれた。 | |
氾濫の 水嵩いや増す へだたりに 施すすべも なけむ今日明日 |
打ち濁り 渦巻く川に 浮き沈み 流されてをり もはや定かに |
楔打ち 忘れしよ かく 書を積めば 苦もなくゆがむ 本棚の枠 |
楔なせ 現実(うつつ)の理論 強ひられし うすら目にすら ものの見え来む |
戦時下に われら進めむ 陣を張り 節守(も)る君ぞ 迎合はせぬ (中田忠夫氏) |
血脈を つぐべきあたら 若人を 何もて呼ぶや 戦野の死者ら |
勧むるも 守るもおよそ 自由にて 文化は強ひず 強ひられずとぞ |
彼ら為す 事こそ知らね 生死(いきしに)の 境が墜とす 自(し)がこころがね |
泥沼に 墜ちて脱かれぬ 足のむた 吸いつく蛭も ここだおりてむ |
あれあれよ 傾ぎ波打つ 人なかに 脱けて踏まれて かたなしの靴 |
山行かば 良けむにといふ 愚かさよ 既に<倶楽部>も 音信不通 |
兆銘を やはか認めず さればこそ 虚しけめビルマ 〈民族自決〉 |
祈られて ためらひまさむ 神添ふや 友が往く日の 仕事手付かぬ |
傾ぎゆく 身よ立ち直れ 虚に酔ひて 恥知らずまで 堕とすか己れ |
われすでに 衆愚のひとり 雑炊に ありつかむとて 列に待ちをり |
今日もまた 背丈かがめし 卑屈さの 並みてありつく 一杯のめし |
休み日を 稼ぐと請けし 倉番の 当ては昼餉の 純にぎりめし |
駆り出され 丸太ひときは 太かるを 転がす刹那 をののけり身は |
生れつき 何せひ弱く ありければ その身守るに 職も替へまく※ |
訓練に 夜学も辞さぬ わが励み 徳とし人は 拾い呉なむ |
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※東京での浮浪の生活から大阪の松竹株式会社に 就職した僕も、生来の虚弱体質から、徴用で慣れ ぬ職場へまわされることが心配で職業訓練所の夜 学に通ひ旋盤などを習ってゐた。それを「なかな か出来ることではない」と買ってくれて、その人 が常務をしいいる大阪のセメント会社に移ること ができた。 |
物つくり または動かす 者は知る 物なき者に 戦争利あらず |
Bonscias tiu ja kiu movi volas au^ mem produktas artiklon, ke milit' ne tiun sen l' aj^'favoras. |
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徴用を 避けむと竦み 後にせり 演劇映画 畑(ばたけ)佳かるに |
世に慣れて 空疎化示す わが歌に 若者同(どう)じ 君は組せず (同志西岡知男) |
わが歌の 傾く臭み 吐き捨てて 知男作歌を 始む即座に |
台湾に※ 鱶釣りゐしも 歌詠むも 物うごかねば 収まらぬ肝 ※同志西岡は城南地 区で古本屋経営のの ちカルピスに帰参し て台湾に渡っていた。 |
海行けば 山行けばとて 知男釣る 憂さを晴らすも 躍る魚もて |
鱶釣りと 猟をたしなむ あきんどの 歌論つづけば 警報もやむ |
これやこの 敗戦待ちの ひもじさを 耐へ忍び抜け 兎にも角にも |
焼け跡に 萎えしぢしばり よみがえり 黄な花咲かす 八月かかり |
ふためきの われの八月 十四日 兵舎側渠に 空爆逸らす |
戦争(いくさ)終わるも われはふつつか 芯あらぬ エス語と山と 歌の好事家 |
伏してゐし 者らしたたに 類を呼ぶ 戦争を宥し をりしわれだに |
演出家 作歌俳優 詩人など 寄るに列り 来し方を悔ゆ |
学生ら 連れある現(うつつ) まぎれなく 岡(潔)先生ぞ※ 鳴らすどた靴 ※数学者岡潔先生、当時 大阪の大学の教授であっ たが、のちに奈良女子大 に移られた。 |
意気合ひて 歌誌を始めし おもほえば 友ら大方※ すでに杳(はる)けし ※関西在住の同志らが寄 り合って歌誌を創刊。大 阪はプロ歌人同盟にいた 自由律の萩原大助、足立 公平が中心となり、提携 から、西岡知男と僕が参 加した。萩原は二年ほど 後に急性肋膜炎にかかり 急逝した。あとの二人も もういない。 |
戦後たまたま 茶房アラスカ にて遭ひし かの山の友※ いかに過ごすか ※山の例会でいつも先導 して呉れた彼は当時郷里 の滋賀県で共産党農民部 長となっていた。 |
口ほどに なきしくじりを われに見て 咎めぬ君に※ いたく恥ぢしよ ※同志宮本正男。戦後の 粗悪鉄筆の使用法を知ら ず、エスぺラントテクス トに失敗した僕は恥しか った。 |