Meet again
と彼ら、兄弟との運命的な再会は、とある駅のプラット・ホームからだった。
は、今年で17歳。
何処にでもいる、平凡な女子高校生である。
しかし、何故、今、この時刻、平日でもないのに、ホームにて先ほどから列車の時刻表と、睨めっこをしているのかと云えば。
きっかけは、数時間前の今朝に、さかのぼる。
普段通りに起きて、顔を洗い、髪の毛を梳かし、歯を磨いて、いつものように、リビングにて食事をとっていると、そこへ母がやってきて、ある用事を頼まれた。
それは、今日、ちょっと近くの駅まで、ある人達を迎えに行ってくれないか?というものであった。
"・・・ある人達って・・・一体、誰を?"と、聞いたのだが、母は"も、よく知っている人達よ。顔を見れば、すぐ分かるわ"と笑顔で答えるだけだった。
――――・・・本当に、一体、誰なんだろう?"ある人達"だから、きっと複数よね・・・。
目を細めて、次にこの駅に、発着する列車の時刻を確認するために、時刻表を見つめる。
というか、着く時間ぐらい教えてくれてもいいのに!!もう何時間待ってると思うのよ!!!
そうなのだ、は、9時にこの駅のホームで、母から言われた待ち人を待って、その時刻から早くも数時間は経過しているのだ。
一向に来る気配のない待ち人に、イラついて、はその場で地団駄踏みそうになってしまう。
本当に、誰が来ると言うのであろうか・・・。
その時、のいるホームに、次の列車がスピードを落として入ってくる。
これに乗っていてくれますように。
と願って、扉が開くのを待つ。
プシューッと音をたてて扉が開いて、中からぞろぞろと荷物を持った人が出てきた。
その人の多さに圧倒され、人込みに巻き込まれそうにながら、は、懸命に辺りを見渡して待ち人を探す・・・が、それらしき人物は、見つからず。
この電車じゃなかったのかな・・・。
近くのベンチに腰を下ろして、はぁ〜。と、肩をガックリ落とす。
それとも、入れ違いになったとか!?・・・どうしよう〜??困ったなぁ。
という不安が、の頭をかすめた。
だが、ここは少ない可能性でも、必ず、ここへ来ると信じたい。
仕方がなく、もう一度、次の列車の時刻表を見るために、ベンチから立ち上がり、近くの時刻表に目をやった・・・時
「あのっ、すいません」
と、ふいに突然、後方から声を掛けられて、は反射的に振り返る。
そこには、金髪の少年が二人、荷物を持って立っていた。
一人は、結構、小柄な方で長髪、その髪を後ろで三つ編みに束ねて、顔を背けている少年。
そして、もう一人は――――・・・。
「あの、ボク達 " "という人を探してるんですけど・・・知りませんか?」
"此処の駅に着いたら、分かるって言われたもんで・・・"と、そのもう一人の少年は続ける。
・・・待ち人って、この子達だったのだろうか?
それにしても、何処かで会ったような気がするのは気のせいだろうか。
少し、間をおいては口を開く。
「・・・ は、私ですけど」
「そうなんですか。良かったねっ、兄さん!」
その少年は、安堵の表情を浮かべなら、横を向いて、隣りに立っているもう一人の少年にそう言った。
「あぁ」
と"兄さん"と呼ばれた、少年が一言、答える。
"兄さん"??ってことは、じゃあ、兄弟だよね・・・(当たり前だ;)
「えっ、えーっと・・・」
でも、一体、何処で会ったというのだろうか・・・?
と思い、首を傾げていると、自分に話しかけてきた少年が、こう切り出した。
「あっ、すいません。ボク、アルフォンス・エルリックと云います」
ペコッと軽く御辞儀をし、挨拶をする。
「えっと、こっちが、ボクの兄で」
と続けようとしたが、もう一人の少年が、それを遮るかのように、口を開いた。
「エドワード・エルリックだ」
―――――・・・アルフォンス・・・ ・・・と、エドワード・・・?
たしか、何処かで・・・と、は、その場で一生懸命に、記憶を辿り・・・。
あっ、もしかして!!
やっとのことで、その兄弟のことを思い出したのであった。
「たしか、家の隣りのマンションに住んでた・・・!?」
「はい、そうです。お久ぶりですね、さん」
ニコッと、柔らかい表情で、アルフォンスはそう答える。
しかし、一方のは、ただ口を開けて、目の前の出来事に驚いている様子だ。
無理もない、あれから、10年ぐらいは経っているのだから。
しかし、まさかこんなカタチで再会するとは、エルリック兄弟もも思わなかっただろう。
「やっと、思い出してくれたのか、」
ふうと一息ついてエドワードは、こう言ったのだった。
「大きくなったねー・・・」
ほへぇーと、エルリック兄弟を、まじまじと見つめながら呟いた。
『あはは』と照れ笑いをする弟、アルフォンスに対して、照れているらしく、から顔を背ける兄、エドワード。
小さい頃に、お母さんに頼まれて、よく近くの公園で遊んでやってたっけ。
しかし、それから数年してすぐに、別れも、何処に引っ越すのかも言わずにそのままで。
正直、変な感じがする。
前より、たくましく成長した二人が、自分の目の前に、今いるのだから。
そして、何とか、合流したとエルリック兄弟。
は、持っていた携帯で母に連絡した。
その後、賑わう繁華街の歩道を歩きながら、は二人にこう聞いた。
「あっ、そうだ。二人はさ、今年でいくつになったの?」
「ボクが、14で、兄さんが」
と、言葉を続けようとしたアルフォンスだが、また兄のエドワードに遮られてしまった。
「15だ」
「そっか、14と15か〜。――――・・・もうそんなに経ったんだぁ・・・あれから」
青一色の、澄みきった空を見上げながら、呟くようにはそう言った。
年月が経つなんて、あっと言う間に覚える。
私も、あっという間にお婆ちゃんになるのかしら?(年寄りくさいぞ;)
と、しみじみ思ってしまうのであった。
俯き加減にエドワードは、こう言った。
「そうだな・・・。何も言わずに引越しちまって、悪かったな」
その言葉に、は思わず焦ってしまう。
「えっ?あっ、いっ、いいよ。気にしないでねっ」
人、それぞれ事情はあるもので。
だから、しょうがないと思っていた。
でも、当時は、いきなりのことに悲しくて、寂しくて、ただ毎日、泣きじゃくってしまい両親を困らせてしまっていた。
もう、二度と、この二人には会うことはないだろうと思っていた、矢先の出来事で。
「あっ、さん」
何かを思い出したらしく、アルフォンスがに声をかけた。
「ん?」
「ここだけの、話なんですけど―――・・・」
ワザと、少し意地悪く笑みを浮かべて、隣りのに何かを伝えようとするアルフォンス。
「だ―――っ!アルっ!!いらんこと言うなっ!!!」
と、大きな声を出し、エドワードは顔を真っ赤にして、焦っている。
「なんだよ。いいじゃないか、減るもんじゃないし」
ニヤニヤとしながら、耳まで赤くしている兄エドワードに言い返す。
そんな二人の、やりとりを眺めていて自然に、から笑みが毀れる。
そこら辺は、二人共、昔からちっとも変わってないな〜。
「ふふっ。でもさ、二人共、元気で良かったよ」
そのの言葉に、アルフォンスも笑顔でそう答えた。
「ボクも、さんが元気で良かったです」
「―――だな」
とアルフォンスに続いて、エドワードは、そう言った。
「そういえば、住む所は決まってるの?」
そうだ、住むマンションかアパートは決まっているのだろうか?とは不思議に思い、エルリック兄弟に問う。
「あっ、はい」
と返事をするアルフォンス。
「場所は、何処?」
一応、聞き返してみる。
「の家」
エドワードは、一言そう言った。
「・・・そっかぁ、私の家か―――」
暫し沈黙。
「―――――・・・って、えぇ!!??」
エドワードの唐突な発言に、目を見開いて、ひどく驚いてしまう。
「・・・大袈裟だな。何、驚いてるんだよ?」
そんなの姿に、半分呆れたかのような顔をして、エドワードはこう言った。
「たしか、さん家って下宿屋さんでしたよね?」
アルフォンスは柔らかい表情で、まだ驚きを隠せないに、優しく聞いてきた。
「えっ、あっ。そうだっけ・・・」
言われてみれば、うち、前々から下宿をやっていたっけ。
最近、住宅事情で入って来る人がめっきり少なくなったから、すっかり忘れてたわ。
「そうだっけ・・・って、お前なぁ」
まだ呆れ顔のエドワード。
「―――と言う訳で、これからお世話になります。・・・ほらっ、兄さんも!」
と、今度はふかぶかと御辞儀をし、隣りに立っているエドワードを促して、挨拶をした。
「よっ、よろしく」
「あっ。はっ、はい。こちらこそっ」
と、もつられて頭を下げる。
これが、エルリック兄弟との運命的な再会となった。
そして、自身の運命もこの二人が、鍵を握ることになる―――・・・。
E N D
あとがき
はい、あとがきです。鋼錬、初の現代版・パラレルでした。
何だか、あまりパッとしないドリームでしたね、すいません。
これから鋼錬ドリーム(現代版・パラレル)を短編で、書いていく上での、前書きというものです。
勿論、普通の原作に沿った世界も書いていきますが。
今回は、エドというより、エルリック兄弟ドリームと言った方がいいかもしれませんね(苦笑)
こんな再会も、いいんじゃないかと思いまして。
次回も是非、見てやって下さいね。というか、どうぞ宜しくお願いします。
御感想などありましたら、BBSまで、お願いします。
それでは、失礼致します。
2003.12.7.ゆうき