白衣の貴女。 −出会い−
此処は、エクソシストが集う黒の教団・本部。
やっとのことで、目的地に辿り着いたアレンだったが、門番に「AKUMA」として認識され、神田と云う青年から攻撃を受けてしまうのだった。
そして、その後、アレンの師匠、クロス元帥の送った紹介状が確認されたと同時に、アレンは何とか危機一髪のところで、神田の攻撃から免れたのである。
そうして、アレンは、コムイ室長の妹で助手を務めているリナリーから、この教団内部を案内して貰うことになった。
順序よく、説明していくリナリー。
と、ある階に来た時、リナリーは何かを思い出したらしく声を上げた。
「あっ、そうだわ。他の班も紹介しなくっちゃね」
「え?班って、色々あるんですか?」
その言葉に、驚いたらしく目を丸くするアレン。
「そうよ。科学班だけじゃ成り立たないでしょう。他に救護班とかあるの」
リナリーは、振り向いてアレンの問いに答える。
"此処の階からだと・・・救護班のさんの処が近いわね"
そう呟くと、止めていた足を前に進ませた。
その後を、アレンは大人しく付いて行く。
それから、1、2階下がった所で、アレンは目の前の、合板で作られている大きな扉に、思わず口を開けてしまうのだった。
「失礼します。さん・・・いますか?」
静かに、ノブを回し扉を押し、中の様子を伺いながら、入っていくリナリー。
「・・・しっ、失礼します」
リナリーの後から、アレンは、ゆっくり足を踏み入れる。
と、薬品棚と左手に持ったファインダーを、交互に見比べている白衣の女性が映った。
「さんっ」
白衣の女性に近寄ると、彼女の名前であろうか""と、リナリーは呼んだ。
「・・・ん?あっ、リナリーちゃん。今日は、どうしたの?」
少し、間をおいて、""と呼ばれたその人は、薬品棚とファインダーから目を外し、柔らかい表情を浮かべる。
「さんにも、紹介しておこうかなと思いまして」
「私に・・・?」
きょとんとして小首を傾げる。
「はいっ」
不思議そうな顔つきで、聞き返してくるに、リナリーは元気良く応える。
そして、その場から数歩、左に移動した。
「あっ、初めまして。今日から、此処でお世話になります。アレン・ウォーカーです」
少し戸惑い気味ではあるが、アレンは確実に、丁寧に挨拶をする。
「あぁ。貴方がアレンくんね。初めまして、救護班の副班長を任されている、・です」
アレンの挨拶に、は自分も答えると、にこっと優しく微笑んだ。
「さん、他の皆さんは・・・?」
「えっ?――あぁ。皆は少し出掛けているの。だから、私はお留守番ね」
がらんとして、人の気配がしない室内に、違和感を覚えたリナリーはそう訊ねてみた。
「―――っと、アレンくん・・・でいいかな?」
「あっ、はっ、はい」
から名を呼ばれ、少し慌てながら返事をする。
「マリアン・・・クロス元帥は、お元気かしら?」
「えっ。あっ、はい。元気・・・ですけど・・・えっと・・・」
唐突に、の口から、自分の師匠である人物の名前が出てきたことに、アレンは驚きを隠せなかった。
「・・・あっ、ごめんね。実は、元帥・・・師匠には一度だけお世話になったことがあるのよ」
慌てながら、は苦笑い混じりで、そう応えた。
「あっ、そうなんですか・・・」
「そうなの」
ふっと、軽く笑う。少しではあるが、照れているようにアレンには見えたのだった。
「――時に、アレンくん。君はエクソシストよね。師匠の弟子の」
「はい」
優しく、穏やかな声音でアレンに話かける。
「じゃあ、あまり、心配しなくてもいいかしら?」
「えっ?・・・それって・・・?」
の発言に真意が見えずに、アレンは思わず聞き返してしまう。
「だって・・・AKUMA相手に、無様に負けたりしないでしょう?」
「あっ・・・はいっ」
とアレンは、に向かって強い眼差しでそう言い切った。
「よしっ。―――それから、他の班でお世話になっても、出来るだけ、うちの班のお世話にはならないように」
"無事に、任務をこなして来てねってこと"
は、そう言葉を付け加えた。
「あっ、はいっ!頑張ります!」
「うん。上出来!流石は、師匠のお弟子さん」
そう言って、ウインクをし、笑顔を向ける。
それが、僕と彼女・・・さんとの出会いだった。
E N D
メッセージ:初のD.Gray−man夢でした。此処まで読んで下さってありがとうございました。
何か御意見・御感想等ありましたら、お気軽にどうぞ。
2004.9.13.ゆうき