安らぐ時間

 

 


〇ある昼下がりのこと。は、最近めっきり行かなくなった、天蓬元帥の部屋を訪れることにした。


(別に、天蓬さんが嫌いになった訳じゃないんだけど・・・此処、最近書類処理や整理で忙しかったしなぁ〜;)


と心の中で呟きながら、部屋の入り口でもある扉を3回、ノックする。・・・しかし、返事はない。


(まさか、また本に埋もれて・・・!?)

 

「天蓬さーん!!」



と今度は、部屋の主を呼びながらノックをする。それでも、返事がない・・・。


(出掛けてるのかしら?それとも、やっぱり本に埋もれて・・・?)


段々と不安になってくる。そして、色々な事を考えて部屋の前で立ち往生していると


・・・じゃないですか?どうしたんですか?」



と、いきなり背後から目的の人物の声がするではないか。

は、ハッ。として振り返った。その人物は、何時もの優しい笑顔で其処に立っていた。


「・・・あっ。この頃、来てなかったし・・・;天蓬さん、元気かな〜と思って;」



は、焦りながら遠まわしに理由付ける。の頬は、ほんのりだが赤くなっていた。


「―――・・・それで、わざわざ会いに来てくれたんですか。じゃあ、此処で立ち話でもなんですから。どうぞv」



と言い、天蓬は自室の扉を開けてを招き入れる。

は、実のところ少し不安だった。

天蓬が部屋へ入れてくれるのは、とても嬉しいことなのだが、もしまた前みたいに本が散乱していたりしたら、例え大好きな人の部屋でも入りにくい。

 

しかし、今日は整理されていた。



(捲簾さんと金蝉さんにでも手伝って貰ったのかしら・・・?)

 

「ソファに掛けていて下さい。今、コーヒーでも入れますから」



「あっ、ありがとうございます・・・あっ。あのっ、天蓬さん!」

 



とコーヒーの支度を始めた天蓬にお礼を言って、すぐさま天蓬の名を呼んだ。


「はい?何でしょうか?」


自分の名を呼ばれ、肩越しに振り向く天蓬。

その姿を、まともに捉えてしまったは、その綺麗で整った顔に暫し見惚れてしまう。

天蓬は、自分をボーっと見つめてるに近づいて、不思議そうに問いかける。



「僕の顔に何か付いてますか?」



「あっ!・・・いっ、いいえっ!!そういうことではなくて・・・!!」


と自分の思っていることを悟られないために、は慌てて首を横に振る。

しかし、天蓬の顔が間近にあるための顔は真っ赤になっていた。


「今日の・・・あなた、何か変ですよ。どうかしたんですか?顔も赤いようですが・・・」


いつもと違って、何処か落ち着きが無いに、天蓬は違和感を覚える。


「悩みゴトなら・・・僕で良ければ聞きますよ?」



"はい、コーヒーv"

と言い、に差し出す。はそのマグカップを受け取る。


「いっ、いえ、本当に何でもないんです;すいません・・・」

「―――・・・そうですか」



と静かに息をついて、天蓬はと、テーブルを挟んで向かい側のソファに腰を下ろす。


暫し沈黙・・・


俯いてから、一言も口を開かないの、そんな姿を心配そうに見つめている天蓬。


(今まで、天蓬さんとこういう風に会っても、そんなに緊張しなかったのに・・・

そっ、それに何を話していいかわからないよ・・・)


 

と、次の瞬間――――。


 

ガクンッ!!


いきなり、自分を見つめていた天蓬の首が、真下に勢いよく下がったためは、一瞬何事かと思い、顔を上げて
すぐさま天蓬に声をかける。


「天蓬さんっ!!??だっ、大丈夫ですか!?」



「・・・あっ、すみません;眠りそうになっちゃいました。此処最近、ちょっと考えゴトをしていて、ろくに寝てなかったも
のですから・・・」


と天蓬は顔を上げ、苦笑しながら向かい側で、目を見開いて驚いているにこう言った。



「―――・・・じゃあ、あたしは帰った方がいいですよね;」


と、は天蓬とろくに話もしない内に、いそいそと席を立ち踵を返して部屋を出ようとした。

その様子を見て、天蓬にしては、珍しく慌ててを呼び止める。



「あっ。!待って下さいっ!!」

 

「えっ!?でも・・・」

 



は一応、振り返るがその場で、どうしたらいいか戸惑ってしまう。


「―――いや、いいんですよ。・・・、すみませんがこちらに来て座ってくれませんか?」

 

と天蓬は、何時もの優しいかつ柔らかい口調で、自分の座っているソファの、半分空いているスペースを指して言った。


「あっ、はい・・・」



静々と、は天蓬の隣りに腰を下ろした。

・・・までは良かったのだが、ふいに自分より身長がある天蓬の頭が

コテンッ。と右肩に乗ってきて・・・


「!!??」


突然の出来事に、の頭はパニック寸前。

 


。・・・すみませんけど、少しの間、肩を貸して下さいね。あなたが傍に居ると安心出来るんですよ」

 



は耳まで真っ赤にして、返事をする。


「はっ、はい・・・」


天蓬は続けて静かにこう言った。


「そうそう、。――今さっき云った、考えゴトとは・・・それは、あなたのことなんですよv」


その後、眠りにつく前に天蓬の言った言葉には、暫らくの間、固まってしまった。


 

『・・・。僕はあなたが大好きなんです。これからも傍にいて下さいね。―――愛してますよ』


 

 

 


******END*****


 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――あとがき。


今回は、天ちゃん〜!で頑張ってみました!!

天界・短編、初めてです(汗)しかも微妙・・・!

・・・しかし、あいも変わらずヘッポコな文ですね(泣)

こんなんでも、楽しんで頂けるなら幸いです;
                                            2003.6.23.ゆうき