いつかは。

 


 秋も深まり、朝晩と、ぐっと気温が下がり、冷え込むようになってきた、そんなある土曜日の昼下がり。

優気と悟空は、毎週のようにリビングで昼食を二人でとっていた。

勿論、他の三人は仕事中であるので家にはいない。

日曜なら塾の講師である八戒が休みで三人になるが、悟浄にいたっては、休みが不定期なためもあり、一緒に食事をすることは滅多にない、ましてや今、ある有名プロダクションの専属モデルを仕事としている三蔵については、一週間に二、三度帰って一緒に食事が出来ればいいほうなのだ。

毎週土曜日は、決まって学校が休みである、優気と悟空の二人だけで過ごすことになる。

まぁ、どちらとも特別な用が、出来ない限りは家を出ない。

しかし、これと言って、やることがない悟空は退屈でたまらなかった。

傍で、洗濯や掃除、食事という一般的な家事を黙って一つずつこなしていく優気。

それを見て、悟空は、何度か優気の手伝いでも・・・と考えたが、下手すると、優気を困らせたり、迷惑がかかってしまうかもしれない、そうなったら、後で三蔵達に何言われるか分かったもんじゃない。

きっと、三蔵にはもろ殴られて、悟浄には、バカなどと貶されて、あげくの果てには八戒に、あの恐ろしい笑顔と後ろからの黒いオーラ付きで怒られて・・・

そう思った瞬間、悟空は自分の背筋がゾクッとし、冷たく感じるのだった。

そのため、悟空は優気の家での仕事の邪魔にならないように、静かにテレビを見ていたのだった。

しかし、何故か優気の横顔は楽しそうに見える。

そんな優気の姿を、不思議に感じるのだった。

 

「なあ、優気・・・」

 

と手を休め、テーブルを挟んだ、優気の向かい側で、悟空は静かに口を開く。

少し、俯き加減に。

 

「ん?どうしたの?」

 

それに気付いて、優気も手を止め何気なく返事する。

一瞬、自分の料理が不味かったのかという不安が、頭をよぎった。

 

優気はさ・・・俺達と暮らしてて楽しいのか?」

 

「・・・へっ!?」

 

悟空の、その唐突な問いに、優気は目を見開いて驚いてしまう。

 

「何をいきなり・・・。悟空・・・頭、何処かにでも打ったの?」

「ちっ、ちげーよっ!!」

 

バンッ!

と勢いよく、手の平でテーブルを叩きつける悟空。

よく見ると、顔が赤くなっているのが分かった。

 

「―――だって、いつも家のことばかりやっていて、俺達のことを気遣ったりするから・・・っ!嫌になったりしてるんじゃないかと思って・・・あっ、ごめん」

 

そう言ってから、悟空は静かに椅子に座り直した。

座るのを確認すると、一息ついて優気はこう言った。

 

「心配・・・してくれて有り難うね。大丈夫だよ。私なら」

「でも・・・っ!!」

 

と悟空は、何かを伝えようとしたが、優気の言葉がそれを遮った。

 

「そりゃあ、私だって人間だもん。嫌になる時だってあるよ・・・何で、こんなことやってるんだろうって思う時もある。でもね、私は・・・」

「?」

 

不思議そうな顔で、優気を見つめる悟空。優気は言葉を続けた。

 

「それでも、私は、悟空や三蔵さん、八戒さん、悟浄さんのことが大好きだから・・・。こんなことで、へこたれてたらこの先やっていけないしね」

「・・・優気」

「それに、お嫁さんにして貰えないしねっ!」

 

片目を、パチリッと瞑りウインクすると、空になった食器をまとめてキッチンへ歩いていく。

優気は、ワザと誰のとは言わなかった。

言わずとも、本人が一番解っていると、そう思ったからだった。

そして、蛇口を捻って洗い流しを始める優気。

 

「なあっ、優気!!」

 

ガタッ!とテーブルに手をつき、身を乗り出すカタチをとって、悟空は再度、優気に声をかけてみる。

 

「何?」

 

と皿を洗っている、手を止め優気は顔を上げて悟空と視線を合わせる。

 

「今度、俺が料理作るよっ!」

「あれ?悟空、料理出来たっけ?」

 

今度は、あまり驚かない様子の優気。平然とした態度で、そう問いかけた。

「出来るっ!!絶対!」

(八戒に教えて貰えれば・・・多分)

 

と力強く、悟空は優気に向かって宣言する。

 

「・・・ありがとっ!楽しみにしてるねっ」

 

ニコッと柔らかく微笑む優気。

 

「おうっ!!―――あっ、それとさ」

 

と言って席を立ち、優気のいるキッチンまで、テクテクと歩いて来る悟空。

 

「?」

 

悟空の不思議な行動に、優気は近くにあった布巾で、手を拭いて悟空の方に向き直った。

 

「いつも、美味しい飯作ってくれてサンキュな!」

「いえいえ、どういたしまして」

 

少し、間をおき悟空は、照れながらこう切り出した。

 

「いつかさ、その・・・優気の作った料理・・・その時は俺達のためじゃなく・・・」

 

「ん?」

 

優気は、照れながら言葉を繋いでいく、そんな悟空の姿が可愛く見えてしまったのだった。

 

「俺のためだけに作ってくれよなっ!」

「へっ!?ちょっ、ちょっと悟空!?それ、どーゆー意味!?」

 

いきなりの悟空の発言に、いまいち理解出来ずにいる優気。

と、この次の言葉に今よりもっと驚かされることになってしまうのであった。

 

「へへっ。優気は、俺がお嫁さんに貰うって、そういう意味なんだ」

 

優気は、悟空のその言葉に顔を真っ赤にし、呆然としてしまう。

 

そんな優気の身体を、悟空はそっと自分の方に優しく抱き寄せて、こう呟いたのだった。


 

 

 

――――・・・予約しておかなくっちゃ、取られるからな。


 

 

                好きだよ・・・優気――――・・・。

 

 

 

 

                                    E N D

 

 

 

あとがき―――。

 お粗末様でした。でも、久々の悟空夢が書けて楽しかったです!

結構、間があきましたからね。前回は、コンビ夢や八戒さん誕生日夢を書いていたので。

(でも、リングでも企画ドリームは悟空でしたが;;)

・・・今回は甘めに作らせていただきました。クサイ台詞、考えるの大好きなんですよねv私。

10000HIT企画ドリームの方も頑張らないとですねっ!!


代理キリリク1234番(でしたっけ?←オイ;)を引き受けていただいた壱様、すいません&ありがとうございました。

こんなんでも、喜んで貰えたら嬉しいですv

壱様のみお持ち帰り可能となっておりますので。

では、失礼します。

                         2003.10.15.ゆうき